観光学的視点を交えたインド旅 その5

オールドデリー

バラナシからデリーまでは再び飛行機にて。バラナシ空港のセキュリティも厳しく、前日のデリー空港からの経験でカメラは全てトレーに出してチェックを受けたが、それだけでなく、モバイルバッテリーやらイヤホンやら全ての電子機器をカバンから出す必要があり、失敗。

デリー空港からホテルまでは今回もbooking.comの送迎を依頼したが、今回の運転手はしっかりと行き先も把握していた。運転も丁寧であった。当然だけれども、インド人にも色々な人がいる。全て一緒くたにはできないしすべきではない。

今回のホテルはニューデリーではなくオールドデリー。イギリス統治時代に作られたのがニューデリーで、オールドデリーは旧市街である。ニューデリー駅を挟んで東側がオールドデリー、西側がニューデリーであり、空港から向かうとニューデリーを経由してオールドデリーに入ることになる。初日と2日目はニューデリーを歩くのでいっぱいだったため、4日目にようやく入ったオールドデリー、ニューデリーと全く異なる街で、オーセンティックさをより感じた。ニューデリーで十分インド感を味わったつもりになっていたが、真のインドらしさはオールドデリーにあった。

ホテルはオールドデリーの真ん中にある文化財をリノベーションしたホテル。伝統舞踊があったり、屋上で凧を楽しむ企画があったり、オールドデリーのヘリテージツアーが組まれていたりして、より文化財ホテルとしての価値を感じるところだった。UNESCOのheritage賞も受賞するこのホテル、宿泊客は欧米人のみ。1泊あたり3万円弱と安くはないが、オールドデリーの観光拠点としても良かった。

独立記念日のこの日、街中で花火が打ち上げられており、騒がしい夜ではあったが、夜9時を過ぎると静かになる。

翌朝。
街を巡るのはこれが最終日である。魅惑のオールドデリーの路地をとことん歩いて街のエネルギーを感じたい。最初に大きなモスクを訪問したが、ここが厄介だった。無料で入れるが、カメラを持っていると300ルピーが必要だとか靴を脱ぐ必要があるが靴箱に置いておくと靴が盗まれるとか、色々な情報を知っていたし、入り口では物乞いがあたかも入場料を請求するかのように待ち伏せていたりする雰囲気。それらを交わして入ったところ、係員とも思われる人に、ガイドをするから勝手に歩くなと言われる(インド人の英語は非常に聞き取りにくく、そんな事を言っていたと思われる)。周りの観光客は自由に歩いているのに。ガイドしてもらうのは良いのだが。ガイドが終わったら一切自由に歩くことは許さず、もう出ていけという態度であった。最終日にして嫌な体験だ。

気を取り直してオールドデリーを散策していこう。ここは現地の人しかいない。外国人は自分1人、物珍しく視線を感じた。しかし、ここではバラナシのように一切客引きに合うことはなかった。そういう意味では、ひっそりと歩くのには相当快適な場所だった。1つ1つの建物や売られている商品、看板や人々の行動など、自分のペースで見ることができた街で、今回の訪問先の中でも最もと言って良いくらい気に入った場所となった。立ち並ぶ店は明らかに地元住民向けであり、観光客である私を客引きしても意味がない。だから何も言ってこないし、それが自由な行動を可能にさせたとも言える。不思議なもので、店舗など観光客対応ができているバラナシやニューデリーは歩きにくく、ローカルになるほど歩きやすい。観光客が楽しめる環境を作りましょうとはよく言うものの、それが仇となるのがインドの観光か。

カメラを持っていると、よく写真撮影を頼まれた。こんな経験は初めてだった。インド人は撮影されることが好き、とは事前にも読んでいたが、実際にその光景に出くわすとやや困惑する。別に撮影後の写真を見たいと言ってくる訳でもない。スラム街でもバラナシでもそうだった。撮られるという行為に価値を見出しているのだろう。そういう訳で、彼らのポートレート写真がたくさん生まれた(これをどうするか)。

午後はコンノートプレイスへ。デリーの地図を見ると明らかだが、幾何学的な都市計画がニューデリーではなされている。円形の街路と放射状に伸びる道路が幾つも配置され、権威を感じる直線構造の道路とその先にある政府機関の建物。コンノートプレイスは、商業の中心でもある。オールドデリーから徒歩では遠く、リキシャを使おうと交渉を試みたが、どれも高くて諦めて歩くことにした。暑い中だが、慣れてしまえばどうにかなる。

オールドデリーには地元住民向けの店舗しかないので、土産物を買いたかったのと、ニューデリーのイギリスによる都市計画を見てみたかったためであった。

コンノートプレイスの町並みはオールドデリーやニューデリーの中でも混沌としているエリアとは全く異なるもので、店舗もH&MやMarks & Spencerなど外資系が多い。リキシャよりも自動車が多いのも特徴的で、こんなにも異なる特徴を持ったエリアが互いに隣接していることが面白い。東京も高層ビルのエリアから路地のあるエリアまで色々あり、それを外国人は楽しんでいるのだろうが、同じような感覚を知った。海外で自分が外国人観光客の立場になると、日本を訪れる外国人観光客の気持ちを多少理解できるのは面白い。

コンノートプレイスは観光客も来る場所である。と言うことは、客引きも多い。オールドデリーの快適な環境から一変、再び客引き対応に。スーパーマーケットを探していたら背後から話しかけてくるインド人。「暑いねぇ。」と話しかけられ、あと1ヶ月したら涼しくなるよ、との情報も。どこに向かっているんだ、と聞かれたのでスーパーマーケットだと答えると、それはここにはないと言われる。事前情報では、コンノートプレイスの地下にスーパーがあると聞いていたので、そのインド人を疑うことに。またどこかに連れていこうとする客引きか…。彼はその場で、スーパーらしいお店はこの近くに2つあると教えてくれ、google mapも見せてくれた。そしてそのまま去っていった。どうやら本当に親切な人だったようだ。偏見は良くない。いい人もいる。むしろいい人が多いはずだ、きっとどの国でも。

#インド #leica #観光学 #デリー

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