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”ひざログ”の記事を読んで思い出した、おすすめの飲食店

車椅子ユーザーにとって飲食店選びは困難を極める。

まして自分のお気に入りのお店を見つけるなんてのは生涯のテーマと言ってもいい。それだけチェックポイントが多いのだから。


その1つが膝!!なのである。


せっかく段差がないことを確認しても、入口が「ウェルカム!!」というメッセージを発し、大きく開かれていても、店内に各階へと誘う大きなBOXが置かれていても、人間の生理的欲求を満たす広々としたトイレが鎮座していても…。


最後はやっぱり、膝!!!


車椅子で悠々と案内され、お洒落な雰囲気と美味しそうな匂いにどれだけ心が踊り明かしていても、現実に帰還あそばせるか、そのまま夢見心地の宇宙旅行を続けられるかは、結局膝次第なのだ。

ピザでもビザでもない、やっぱり膝。(しつこいw)


先天性の脳性麻痺があり、今でも若干の食べこぼしが数あるコンプレックスの1つである筆者は、特にテーブル(や机)に奥までしっかり入れるかどうかが、食事の成否を左右する。

仮に膝がつかえてしまった場合、ただでさえ食べるのに時間がかかり、見た目もよろしくないため対面の食事のテンションはただ下がりとなる。

大切な打ち合わせや、ましてデートとなろうものなら急遽飲み物1杯で、減量中のアスリート。そんな迫真の演技派俳優を気取りたくなる男の気持ちを、はたして分かっていただけるだろうか。

それだけ切実で、少しでもカッコよくありたいものなのである。だからこちら、ヒザロクを読んだ時には勝手に共感の嵐が吹き荒れた。

詳しくは各特性別のGood対応が書かれたこちらの記事をぜひ読んでほしい(ちなみに我、岸田奈美さんの大ファンである)。


そして思い出したことがある。


これまた愛するコブクロの、プレミアムライブに当選し、Zepp羽田へと出向いた時、せっかくならと夕食時に羽田空港まで足を延ばした。

バリアフリーなそれを求めたものの、時は飲食店戦国時代。閑散とする数年ぶりの空港で、まだ19:00だというのにほとんどの店は冬眠していた。これでは熊が森に帰ってしまう。

そんな中見つけた唯一の灯火。『黄金色の豚』


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声なきライブのテンションも忘れかけた頃やっと入った豚カツ屋さんは人もまばらで貸切状態。入口こそ「ウェルカム!!」と大声でメッセージを発してくれていたものの、平地にあるのは車椅子ユーザーにとってはエベレスト級の高さを誇るカウンターーばかり。

この店において、食のスタート地点となるテーブル席に着くには断崖絶壁の階段を4段上がる必要があったのだが、ペルモが愛車の僕にはまさしく予断を許さない状況なわけで…。


そんな中、僕は気付けばカツカレーを注文していた。

なぜそんな英断ができたのか。


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それは、ついさっきまで断崖絶壁と思われた未開の地から、大きなテーブルが降ってきたからだ。

いつの間にか厨房にいたはずの料理人と店員さんが一枚岩となって、大きな木製のテーブルを運んでくれていた。しかもカウンターにも料理が置けるよう、一緒に行った友人がそのままカウンターで食事ができるように配慮してくれたりもして…。

(こんな配置で2人で食べたのですが。。。)


確かに頼んだはずのカツカレーは1度、引田天功ばりのイリュージョンで消えた後、絶妙な一口サイズにカットされて出てきた!!

もう我々、注文まで行き着いた時点でめちゃくちゃ感動していたのですが、その時すでに「カツカットしましょうか?」って聞かれてた。だからお言葉に甘えてみた。

だけど、提供する時にお互い忘れてたの。それを優しい店員さんったら思い出して、僕と目があった瞬間、「あっ、ちょっと待っててください^ ^」って自分で気付いて引田天功してくれたの。

【#頼んでないのにカツカット!】


これが、今日どうしても書きたかった密かな思い出。このお店、おすすめ!

羽田空港第1ターミナル4F『黄金色の豚』

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結果は人なんですよね。車椅子ユーザーの僕がリピートするかどうかは^ ^


同じ悩みをもつ皆さんが、どうか楽しく食事ができますように。



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