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同じ土俵で戦うために

(昨日公開した記事では)「障害」について少し熱く書いてしまいましたが、ここでは私が学習についていくために工夫したことを中心にお伝えしたいと思います。
 学習上の工夫として、大学側に机の改良を申し出たことはすでに記載したとおりですが、当然私自身も小さな工夫を重ねました。やはりここでも、キーワードは「スピード」です。
 まず1つ目は「ノートテイク」です。講義を考えた時、これが最もネックでした。大学の講義には決まった「型」がなく、その教授の特色が色濃く反映されるため、傾向を掴むまでが大変なのです。

①ひたすら話し、全く板書をしない先生(マシンガンタイプ)
②思いつきでキーワードのみを板書する先生(ひらめきタイプ)
③90分間、話しながらとにかくひたすら板書をする先生(ロボットタイプ)
④板書はするが、「ココ大事だよ」といった箇所に限って板書をしない先生
(惹きつけトリックタイプ)
⑤板書とプリントを駆使する「リアル二刀流」の先生(大谷タイプ)

など実に様々です。
 
 どのタイプが1番大変かと聞かれても非常に難しいのですが、①マシンガンタイプの時は、一層集中力を研ぎ澄ませなければなりません。

②ひらめきタイプは話に集中しすぎるとやられます。適度に板書をチェックする注意力が欠かせません。

③ロボットタイプの場合は、とにかく手足を巧みに動かして別々の動きをすることが特徴ですが、私は視線を常にノートに向けます。そして、自分が大事だと思うことをとりあえず書き留め、話の区切りごとに確認します。この手のタイプは何を書いているかわからないことも多いのですが、私はこれがベストの方法だと思っています。

④惹きつけトリックタイプには要注意です。板書に夢中になりすぎていると要点を聞き逃してしまうからです。手と耳を分離させる器用さが必要です。

⑤大谷タイプも意外と厄介です。私は教室の構造上、可動式机を設置し、1人で最前列に座ることが多かったのですが、必死にノートを取っている最中、教員が気を遣ってプリントを真上に置くこともしばしばありました。すると、驚いて途端に全身に力が入り、板書のペースは乱されてしまいます。

 2つ目の工夫は、やはり「レポート対策」です。障害を理由に特別扱いをされることが嫌だった私は、レポート提出日が近づくと講義終了後に先生に近づき、「私ももちろん同じ条件で取り組みます。気を遣われるのも嫌なので評価も厳しくて構いません。ただ、レポートのテーマが決まったら私には少しだけ早く教えてもらえませんか?どうしてもタイピングに時間がかかるのですが、週末も課題に追われてほとんど休めていなくて・・・」と、交渉していました。
 すべて、紛れもない事実です。スピードの面ではどう頑張っても太刀打ちできない。ならば譲歩を引き出すしかない。そのために、まずは自分から誠意を見せる。私の考え方はとてもシンプルです。
 定期試験も同様に、スピード面を補うために1.3倍の時間延長は仕方ないとしても、あとは同じ条件で臨むことにこだわりました。とはいえ、時間延長をする私は教室が別ですから、その分人手もかかります。私のためにわざわざ事務スタッフが試験監督を買って出てくれることも多く、終わった後は必ずお礼行脚に事務室を訪問していました。
 自分の努力でどうにもならない時には譲歩を引き出す努力をする。そして、相手の行為に対して最大限の誠意を見せる。こうした姿勢を貫くことが同じ土俵で戦うためには不可欠でした。


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