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岸田だからおもしろいんじゃなくて、面白い文章を書くのが岸田奈美だった

 昨夜、小学館本社ビルで行われた岸田奈美さんの講演会&出版記念サイン会に行ってきた。夜のリアルイベントは久しぶり。ファンである筆者のテンションはのっけから高かった。

 岸田奈美さん・・・他己紹介は言わずもがなだろう。100文字で済むことを2,000文字で伝える作家にして、noteで赤べこの記事が大バズりして風のように独立した。


ネタバレ御免!これが私の備忘録

 そんな岸田さんが東京にやってくる!

 新型コロナ対策のため定員は50名、全員がマスク着用ということもあってか、会場の雰囲気はどこか硬かった。

 そんな中登壇した岸田さんは漂う空気を察してか、「今日はどんどん会話に入ってきて大丈夫です!打ち合わせの原稿楽屋に忘れたんで!!」と、大まじめな小ボケを一発。その後も、今日ここに立っているのかがいかに奇跡か、嘘のようなリアルタイムのエピソードを10分程度披露し続けた。

 いつの間にか少しずつ、会場に和んだ空気が広がっていく。

「使命=好きなこと✖️やりたいこと✖️求められていること」だと思うんです。

 これが、ボケ倒した岸田奈美が僕たちに話した真面目な一言目である。やっぱり緩急すげーや。僕が惚れる理由の1つがここにある。

 3つ目は最近思いついたそうです。自分では気付いていなかったけど気付けば求められていること。これが合わさったら最強、納得です。

(自分は)おもしろい文章じゃない(笑)でも、自分の体験をみんなが共感できるところで書くことはできるかな。

「岸田さんのように面白い文章ってどうしたら書けますか?」とか聞かれると、答えに困るらしい。わかるな~。自分も「長野さんのように強く生きるにはどうしたらいいですか?」とか聞かれると、大草原に放り出された子羊みたいな気持ちになるから(笑)僕はそんなに強い人間じゃないんだよ、って。

 だから、僕が思うに彼女の文章が面白い(僕たちが面白いと感じる)のは「岸田さんが誰よりも面白がっているから」じゃないかな。世の中を。自分に起こる出来事を。

面白い文章でも人は傷つく

 誰も傷つけない優しい文章が書ける、と背中を押されて作家になったものの、事実をちょっとだけ愉快に書いても書いても少なからず傷つく人がいることにショックを受け、文章の限界を感じたという岸田さん。

 もしかするとこの言葉もそんな想いから生まれたのかもしれません。

エピソードは選べばいい!
岸田なら岸田を。今辛い渦中にいる人の文章が良ければその人の文章を。

 せっかく本を手に取ってくれた人の中にも、時に「岸田さんの(ように楽しそうな当事者の)文章を見るのが辛いです」という声も届くのだそう。そんな時、自分のキャッチフレーズ[誰も傷つけない優しい文章が書ける]は幻想だったのか、と思う一方でこんな思いにかられるという。

本当は色々な境遇の人たちの文章で溢れているはず。でも、ネット検索などして明るい方たちの文章が多いのは、(今辛い状況にある人が)書くまでの段階に達していないだけ。

「好きじゃなければやらない方がいい」

 これは、noteでバズった岸田さんらしく僕たちnoteユーザーに向けられた言葉です。書くことはそれだけ難しいし奥が深い。だからこそ、今まさに辛い境遇にある人たちが作品を残すという行為はハードルが高いのかもしれない。

 ところで、岸田さんは応援してくれるファンのことを親しみを込めて”親戚”と呼ぶ。親戚の1人として書かせていただいているこのブログも、そろそろラストスパートをかけようと思う。

意外だったこと、質疑応答あれこれ10選!

①上手くなりたいならプロにならないほうがいい!その業界で珍しい存在になる方が近道♪

→当時、バリアフリーやユニバーサルデザインを手掛けるベンチャー企業にいた彼女だからこそ響いた言葉。その世界で何十年もメシを食っている人といきなり勝負できるほど、この世界は甘くないぞ!そんなメッセージだと受け取りました。

②「なんか面白い人だぞ🤣」 文章が上手くなるのは、人に反応してもらって褒めてもらった時

→その人がどこに反応して、褒めてくれたかだけ、しっかり覚えておく(煮詰めてね!)

③ハプニングはいつもみんなが助けてくれる!(でも不幸なことは言わないでね^ ^ 

→とことん困って!と言ってました(笑)不幸ですアピールをし続けると人はどんどん離れていくので、一緒に気をつけていきたいですね。

~ここから質疑~

④障害を持った弟の存在をなかなか人に言えない自分が嫌

→「なぜ言えない」のかよりも「どうしたら言えるのか」を考えたほうがいい。ネガティブなことを面白く言えるまでには時間が必要だよ!とのこと。何事も無理しないことが大切だよね。

⑤岸田さんが今考えていること

→今は孤独について考えてる(めちゃめちゃ変わる!)らしい。どうやって孤独と向き合うか。人種の多様化で孤独が増えているというのは斬新な考え方でした^^

(挙げてくれた例:昔は気軽に恋愛相談できたけど・・・今は、男で女が好きな人、女で男が好きな人、男で男が好きな人、女で女が好きな人、心と身体の姓が異なる人、両姓とも恋愛対象の人・・・色々だから)

⑥ 人に本を聞く時のコツ

→オススメ本を聞くのではなく、自分の悩みを言うといい!(いろんなジャンルの本に出会える確率が上がる、らしい)

⑦岸田流:書く時のコツ

・〜すべき、必ず、という表現は自分にしか使わない!

・主語を大きくしない。(社会が、みんなが、全員が、よりも、僕が、私が)

・原稿を寝かせない!!

→とにかく勢い、熱量が大切だと。これは『自分と同じ^ ^』と思いました。公開してから微妙に直すことはありますが、筆者の気持ちが乗った文章ってなんだか引き込まれますよね!!

単純なので即実践(笑)

 ・・・そんなわけで2,500字の文章を熟すことなく、即公開することにします。めちゃくちゃ疲れたけど楽しかったな。

 ※有料だからさ、読めなかったらごめん。読みたかったら奈美さんをサポートしよ。【サイン会のタイミングで期限切れのクレジットカードが掘り出され、亡き父の筆跡が蘇った!】 そんな話です

 サイン会に臨む前にこの記事を見つけ、密かにだけどめちゃくちゃ期待していた幻のサイン本もこの手にGETできて、もう望みどおりさ!

 岸田家にまとめて大感謝。この記事を読んで岸田さんの親戚が1人でも増えたらいいな。もしかすると著者と繋がれる可能性もある書くことは楽しいよ。書くことは読者と対話する第1歩だと今日の筆者は言ってます。


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