日記・ブックカフェでつかまえて

 昔、図書館で読んだ装丁が全て真っ赤な短編集があったことを思い出し、なんとなく調べてみると思ったより簡単に見つかった。



 『極上掌篇小説』という角川から出ていた本だった。表紙だけではなくページの側面も赤かった記憶がある。内容はほとんど忘れてしまった。もう新品はなく読むならば古本を探す他になさそうだ。

 本は1日におよそ200冊出版されているらしい。本の形をしたもの全てがそのカウントの条件に乗っているとはいえ、実際に手に取り内容を読む本はほんの一部にしか過ぎないことを改めて知る。

 あの時に読んだあの本、というのはメジャーな本ならばさておきそうでなければほとんどもう一度出会うことはないと思う。だから逆に言えば別々の場所で再び出会った本には縁を感じて僕は買ってしまう。

 以前、村上春樹が訳した『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を図書館で借りて読み、しばらくしてもう一度読みたいと思い出す度に書店で探していたがやはり見つからなかった。しかしそんなことも忘れていた頃、東京のブックカフェに入ると偶然その村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』に出会った。

 その時は読みたいとは思っていなかったが、まさかここで出会うとは思ってもみなかったのでその偶然への感動そのままに本を購入した。本って出会いなんだなと強く思う瞬間だ。

 大きな書店や通販で目当てのものを買うのもいいけれど、そうやって偶然の出会いに従って本を買うのが僕は結構好きだ。いつかその出会いが僕を救ってくれる。そんな気がする。

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