日記・残された柱

壊してもいい家の壁を壊してきた。

説明が簡単になってしまったけれど、間取りを変えるのに壁を取り払う必要がある部屋の壁を壊した。

家は構造的に取り払えない柱がある。襖を取り、板を取り、広くなってなお残る柱がある。

民家をリノベーションした建物でたまに見る。よく見るとそれは押し入れの名残で、柱は残さなければいけないために残っている。

なんだか僕はその柱が愛おしい。広くなった空間にぽつりぽつりと柱だけが残っている。

柱の並んだこちら側とあちら側、ゆるやかに区切られた空間。そこを行き来したくなる。

柱はそこになくてはならない。柱を取り払ってしまえば、家そのものがなくなる。空間そのものがなくなる。空間のこちら側もあちら側も、隔てる物がなくなる。

広がる空間の中で、柱がそこになくてはならない。僕はそういう柱が好きだ。なくなってはいけないものが、ちょっとした違和感になって空間を隔てている。良い違和感だ。


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