日記・然るべき寂しさ
つい先日引っ越したのだけれど、今日、元々住んでいた部屋から離れるように車を走らせるとまるで間違った方向に走っているようで寂しかった。
でももうその部屋にはなにもないし入るための鍵もないから、戻ったところで帰れない。
頭では分かり切っているのに感覚が残存するこの感じをいままで何度も感じてきた。それはいままではかなり大きな違和感だった。
それが今日はあるべきことのように思えた。たとえば仕事の中の手続きに仕様変更があって、変更の説明を聞いて分かっていても以前の手続きを踏もうとしてしまう。
これは自然なことで、いままでの手続きを体がすぐにはやめられないのだ。だからいままでの手続きと違う行動をしている状態に違和感を覚えるし、それは新しい別の手続きを踏むためには必ず訪れる過程だ。
いままでの手続きと新しい手続きの間にある違和感は煩わしさや場合によっては寂しさを感じさせ、それは違和感が新旧の手続きを比較させるからで、だからありもしない帰る部屋とは逆方向に車を走らせると寂しくなる。
あって然るべき寂しさをいままでどうやって忘れようかと思っていたけれど、新しく別の方向へ行こうとすれば必ず生まれる感情なのだと思えた。
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