日記・カフェで涙する

本を読んでいて泣きたくなったときにふと思い出すことがある。

東京・国分寺のカフェでくつろいでいると少し離れた席の女性が本を読んでいるのが見えた。こちらを向いて座っていて、本を熱心に読んでいた。

たまにその姿が視界の端に映っていた。それはカフェではよくあることだし、一瞬ちょっと見るだけであとは特段気にしなかった。

しばらくして、再び女性が視界に映った。すると目を閉じて静かに涙を流していた。僕以外はそのことに気づいていないかもしれなかった。

今日、カフェで本を読んでいると痛切な文にあたって涙腺が緩むのを感じた。人前では泣けないなと思ったあと、あの国分寺のカフェで見た女性のことをふと思い出した。

カフェで本を読んで泣いたっていいのだと思った。すると目に涙が滲んだ。繰り返しその一節をなぞる。

しばらく途中まで読んだままにしていた本だった。なんとなくだが、途中にしていた本も読むべきときが来ると読むんだと思う。哲学の入り口みたいな本だったが、そんな気持ちになるとは思ってもみなかった。

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