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日記・旅土産、記憶の香(盛岡→武道館)11/27〜12/5
楽しかった思い出がふと思い出される瞬間が好きだ。それは、心がふわっと温かくなる理由が過去にあるからだ。
僕はいま、くどうれいんさんとYOASOBIがとても好きで、去年の11月の末から12月の頭にかけて双方を訪ねる2週間があった。
くどうれいんさんを訪ねに(実際に会った訳ではないが)盛岡へ行った次の週にYOASOBIの武道館のライブを見に東京へ向かった。
新型コロナウイルスの感染が縮小していた時期だったから比較的伸び伸びと動けたし、特に盛岡ではいろんな人と話すことができた。
新型コロナウイルスの感染が再拡大を始め、再び移動が憚られる状況になってしまった。ほんの1ヶ月前、東京の街を九段下から上野方面へと歩いていたのが遠い昔のように感じる。
今日、お菓子を食べながらくどうれいんさんの本を読んでいると、ふと盛岡の街の匂いを感じた。
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11月の末、晩秋というには盛岡の空気は既にしんと冷えていて、街の北西に位置する岩手山は雪を被っていた。盛岡は曇りの日が多いらしいがその日はすっと晴れていた。
その時の盛岡の街の匂いをふと思い出して、それから盛岡の街を歩き回った記憶が沸いてきた。盛岡ほど情緒のある街を僕はまだ知らない。
それから車に乗ってなんとなくYOASOBIの武道館のセットリストを流すと、武道館で見た景色が不意に頭の中で映し出された。
あの夢をなぞっての歌い出しのフレーズが武道館に響いている。大正浪漫の演出が華やかで、手拍子でリズムを取りたくなる。
無理に思い出すんじゃなくて、なにかのきっかけでふと思い出す瞬間のお湯が沸いた時みたいな感覚が好きだ。ふわりと花の匂いが香る時の感覚にも似ていて、その記憶が香ると嬉しくなる。
同時に、過去がそれきりではなかったと分かって嬉しいのだ。旅行もライブもその時楽しかっただけではなくて、未来にこうやって思い出す楽しみを残せるのだと証明してくれる。
世の中がこんな風になるまでは記憶に残るよりもその時の楽しみ方にばかり意識していたけれど、いまは1回ごとの旅行が貴重な時間になってひとつの旅行を取ったって人生の中でなにかしらの意味を持つようになっている。
制限があるからこそ、きっと忘れられない旅行になる。旅の思い出が日常のお土産になる。腐らず、色褪せず、朽ちないお土産だ。
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