日記・コントが終わる

 明日の夜はもうコントが始まらないのだと、はっきり気づいてしまった。

 ドラマ『コントが始まる』が先日の土曜日で最終回を迎えた。


 ドラマを毎週追って見る方ではないのだが、この『コントが始まる』に至っては珍しく毎週リアルタイムで見るために放送が始まる5分前には必ずテレビの前で待機していた。僕にとっては『獣になれない私たち』以来の感覚だった。

 このドラマは売れない芸人3人組とそれを取り巻く人々との関係性を描いた物語だ。高校の同級生で組まれたトリオは3人とも28歳で、僕と年代が近いのでどうも他人事には見えなかった。

 高校を卒業してから10年が経った3人は、トリオを解散すべきか否か逡巡する。この10年は間違っていたのかも知れないし、芸人をやめるということはその10年間を否定する行為なのではないかと迷う。

 見ていない人にとってはネタバレになってしまうので物語の本筋についてあまり細かく話をしたくない。一方で、この物語を既に知っている人と共感的に語り合いたい気もする。

 『コントが始まる』を見て、これからまた人生の方向性を変えるような選択をしてもいいのだと許しを得たような気がした。いまのまま、いまの仕事を続けてもいいし、でもいまの仕事を辞めるにはそれなりの覚悟が必要で、でも辞めてしまえば案外先に道は開けてくるのだと思った。

 ドラマはあくまでフィクションである。現実の自分が同じようにうまく先へ進めるかなんて保証したりはしない。でも「こういう選択肢もあるよ」と新しい可能性を提示してくれるこの力強さは現実にはあまり存在しない。

 コントが終わってしまった。先週の土曜日の夜、ふとそう思った。



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