日記・おでんと文章

 少しだけ試してみようという考えが人生には必要だとつくづく思うのである。

 今日、コンビニのおでんを久しぶりに食べた。一口すすったおでんの出汁がおいしくて、ふと思いついてしまった。

「一緒に買ったわかめご飯おにぎりをこの出汁の中へ入れて食べたら雑炊みたいになって、もっとおいしくなるんじゃないか」

 でももしおいしくなかったら、おでんの出汁とわかめご飯おにぎりを全部無駄にしてしまう……。諦めて別々に食べてそれぞれのおいしさで味わった方がいいんじゃないか。やるか、やらないか、答えは二つに一つかと思われた。

 ところがふと気づく。半分だけ雑炊にすればいい。わかめご飯おにぎりをとりあえず半分くらい食べれば、一応半分はちゃんと食べられる。残り半分がいまいちでも、いまいちな雑炊も半分だけ食べれば済む。

 なぜ最初に「半分だけ雑炊にしてみよう」と思わないのか。気づくのにいつも時間がかかってしまう。文章も最初から何万字も書けなくてはいけないと思っていたせいで「少しずつでも毎日書いていれば段々長い文章が書けるようになってくる」と気づくのに長いこと時間がかかってしまった。

 毎日400字程度の日記を書くようになって書ける文章の文量が段々と増えていった。日記も最初は200字程度で自分にオッケーを出していたので、400字をコンスタントに書けるようになったことも僕にとってはかなりの成長のように感じている。

 少しだけ試してみるというのは僕にとってかなり大事な感覚なのだと思う。おでんの出汁におにぎりを丸ごと全部入れなきゃいけないと思っているのは僕だけなのだ。

 

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