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日記・個人的に好きな島本理央さんの本を紹介します。

 YOASOBIのプロジェクト『はじめての』での参加が発表されていました島本理央さんの作品が好きで、個人的におすすめの3冊を紹介したいと思います。



『リトル・バイ・リトル』

 ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校二年生の異父妹の女三人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父──。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた第二十五回野間文芸新人賞受賞作。

島本理央『リトル・バイ・リトル』裏表紙あらすじより

 2003年刊行。僕が初めて島本理央さんの作品にふれたのがこの本でした。青春、うん。青春かも知れない。センセーショナルになにかが起きるわけじゃないけれど、主人公のふみがしっかりと一歩一歩を踏みしめて歩んでいく人生の一部がこの本の中に切り取られています。

 たゆたうように読んでいると忘れてしまうけれど、ふみたち三人は少し込み入った事情を抱えて、それが物語の中で時折顔を出して不穏な気配を醸し出す。

 ふみは物分かりの良いふうを装っていてもそれは確実に心に影を落としていて、その影が徐々に薄くなっていく。その過程を青春と呼ぶのなら青春なのかも知れません。

 僕はこの本を何度も読み返していて、その度になにか救われた気持ちになる、僕にとってはお守りのような一冊です。



『クローバー』

 ワガママで女子力全開の華子と、その暴君な姉に振り回されて、人生優柔不断ぎみな理系男子の冬治。双子の大学生の前に現れたのはめげない手強い求愛者と、健気で微妙に挙動不審な才女⁉︎でこぼこ4人が繰り広げる騒がしくも楽しい日々。ずっとこんな時間を過ごしていたいけれど、やがて決断の日は訪れて……。モラトリアムと新しい旅立ちを、共感度120%に書き上げた、キュートでちょっぴり切ない青春恋愛小説!

島本理央『クローバー』裏表紙あらすじより

 2007年刊行。主に登場する4人のキャラクターには愛せずにはいられない愛しさがあります。4人ともとても魅力的なのにどこか欠点があって、でもその欠点さえ愛おしいほどです。

 キャラ立ちの良さとしっかりと恋愛する物語もあって、今回紹介した作品の中では一番読みやすいかも知れません。

 僕にとって『クローバー』はこの登場人物たちに会いたくなって本をもう一度開くことが多い一冊です。4人の中で誰が一番好きなんだろうと思いましたが、難しい。みんな大好きです。



『よだかの片想い』

 顔に目立つ大きなアザがある大学院生のアイコ、二十四歳。恋や遊びからは距離を置いて生きていたが、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、表紙になってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と出会ったアイコは彼に恋をする。だが女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがわからず、暴走したり、妄想したり……。一途な彼女の初恋の行方は⁉︎

島本理央『よだかの片想い』裏表紙あらすじより

 2013年刊行。こちらも恋愛についての物語です。けれど、『クローバー』より全然ストレートじゃない。恋愛に絡みつくつたもやをひとつひとつ振り払いながら、扱いの分からない初恋のうねりの中で主人公のアイコが成長していきます。

 恋愛についての物語だけれど、恋愛の行方よりもアイコの成長の行方を追う物語かも知れません。

 たまに読み返そうとして、途中でつらくなって閉じてしまう本です。気持ちに余裕がある時に、ふと開きたくなる本です。



 島本理央さんが直木賞を受賞された時に、いろんな本屋さんで平積みになって特集の棚が設けられていたのを思い出しました。当時から好きな作家さんでしたので、どこの本屋さんでも大きく取り上げられているのを見て自分のことのように嬉しかったです。

 その島本理央さんが今回YOASOBIとのプロジェクトで一緒になると知って、直木賞を受賞された時のように嬉しかったです。

 島本理央さんが書く物語がどんなものになるのか、そしてその物語がどんな音楽になるのか、これから2月の発売が楽しみです。



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