日記・いつかの夏の夜に飛べる

 夏みたいな夕方だった。とても良さそうな気配を感じて、夕食もそこそこに夜の散歩に出かけた。

 思った通りの夏の夜の匂いに「散歩に出てよかった」と思いながらふらりふらり歩く。イヤフォンを耳に入れる。音楽を流す。



 なんとなくプレイリストにまとめてみる。一時期よく聴いていた曲とか、思い出がある曲とか。聴くといつかの夏に行ける。

 夏の夜のあの匂いってなんなのだろう。ひと息で過去に飛ぶ。具体的に過去のどの地点に飛べるかはその日次第だけれど、それはその時聴いていた音楽を手がかりにすれば思うところに飛ぶこともできる。

 ああ、この時期になるといつもいくつも飛びたい過去を思い出している気がする。あのライブを見ている時とか、あの音楽を聴きながら乗っていた車の中とか、あの曲に出会った夏の夜とか。



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