日記・看板の明滅にある物語

  お店の光る看板が点灯する瞬間が好きだ。あと消える瞬間も好き。

 手動で明滅させる店もあれば、タイマーやセンサーで明滅させている店もあると思う。でも、なんとなくその明滅に人の意図を感じてしまう。

 大学生でアルバイトをしていた時、お店の看板を点けたり消したりしていた。夕方、お店に入った時に点けたり、店を閉める時に消していた。

 ただ看板のスイッチを入切するだけの動作だけれど、なんとなくそこに僕の意思が乗っているのがいま思い出すと面白い。

 アルバイトにお店に来て、まだ明るいから点けないでおいた日とか、もう真っ暗なのに看板の電気がついてないと思って急いで点けた日とか、売り切れで早めに消した日とか、消し忘れていたことに帰る直前に気付いた日とか。

 光る看板の明滅ひとつにも僕には僕なりの物語があって、それを不意に思い出されるのが好きなんだと僕は思う。今日の仕事の帰り道、ちょうどお店の光る看板が点灯する瞬間を見た。



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