日記・幸せだった日には死にたくなる

 友達の引っ越しの手伝いをしてきた。なんだか楽しかった。今日死んでもいいな。

 幸せな日には死にたくなる。だってこれはとんでもないハッピーエンドで、映画だったら一番いいところで流れ出すエンドロールが既に主演の名前を告げ始めている。

 幸せは麻酔のように日常の毒が回る心に少しだけ痛みの猶予を与えてくれる。麻酔が切れてしまわないうちに息の根を止めてほしい。

 そんな日も寝る頃になれば、やっぱりまた同じように幸せを掴むしかないと決心がついて、徐々に薄れていく幸せの麻酔に気づきながら眠りにつく。

 そうやって幸せを繰り返すしか方法はないらしい。日常がどんなに毒牙を剥いても繰り返してきた幸せが「大丈夫」とささやくようになるまで幸せを重ね、ハッピーエンドが自分に訪れないように生きていく。

 幸せなうちに死んでしまいたい。でもそれはまだ今日ではないみたいだ。もしもエンドロールの幻覚が見えてもそれは続編に続く足がかりらしい。

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