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二十二通目 #宛先のない手紙

あなたはまだどこかで生きているのでしょうか?衝撃的なラストを迎え、死んだかのように思われましたが、まだ生きているのを仄めかす描写もあり、謎は深まるばかりです。

あなたと出会わなければ、私が防衛大に入ることもなかったでしょう。漠然とこの国を、世界を変えたいと思っていた私は、あなたを見て武力組織を従えればいいのだと考えました。

今思えば中二病極まりない思考回路でしたが、当時はわりと真面目に、自衛隊のトップになれば世界を変えられると思っていました。

それが間違いであることは入って早々気づくことになりましたが、あなたから学んだ人の上に立つ者の心構えや戦術的思考は、その後も大いに役立ちました。

自らの運命に抗って世界を相手に戦いを挑み、自分が悪になろうともその正義を貫き、新しい世界を創ったあなた。綺麗ごとだけでは世界を変えられないことを思い知らされました。「正義」とは「悪」とは「力」とは、多くのことをあなたから考えさせられました。

確かにこの世界には、自分の力ではどうしようもない理不尽が、山のようにありました。正義のために悪を為すのか、正しい方法で挑んで敗れるのか。それに正解がないのを知ってなお、前に進むために必要なのは自らの決意と行動であると、そう教わりました。

私はまだあなたがどこかで生きていることを願っています。またいつか世界があなたを必要としたとき、颯爽と現れるのを心待ちにしています。そのときはまたこんな言葉を発するのでしょうね。

撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ



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