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十四通目 #宛先のない手紙

ご無沙汰しております。お元気ですか?あなたに手紙を書く日がくるなんて、当時は考えられないことでしたね。

当時私があなたのことをどれだけ嫌っていたかは、あなた自身もよくわかっていたと思います。基本的に人を嫌いにならない私が、ここまで嫌っていた人間は、あなたぐらいなのではないでしょうか。

あなたの教官人生の中でも、あそこまで盾突いてきた学生は他にいないのではと思います。当時の私にはあなたの考えが全く理解できませんでした。絶対に自分のほうが正しいと疑わず、正義を貫くことに階級など関係ないと信じていました。

あなたの考え方が正しいとされるなら、自分が、自分たちが今まで追い求めてきた理想をすべて否定されることになるからでした。それは自分のプライドやアイデンティティーさえも揺らぎかねない、決して許されてはならないことでした。

今でも自分が間違っていたとは微塵も思いませんが、あなたの考えも多少は理解できるようになりました。確かに学生としての視野では見えていなかった部分もあったなと反省しています。

でもあなたに盾突いたことは全く後悔していません。それだけ本気で組織を良くしたいと思っていたことは間違いないし、確固たる信念を貫き通すことができたからです。

もう同じ土俵で意見を戦わせることはできないですが、また一緒に飲みに行って色んな話をしたいです。いつかどこかでお会いしましょう。それまであなたはあなたの信念を貫いて、組織を良くしていってください。



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