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二十一通目 #宛先のない手紙

お元気ですか?最後に会ったのはいつだったかなー?今はどこで何をしているんでしょう?

君と仲良くなったのはいつからだろう?それまではただ部活の先輩と後輩の関係だったのにね。お互い海外や旅に興味があったからなのかな。いつの間にか部活以外でも色々話をする機会が増えたね。

部活の運営のことに、将来のことや夢のこと、たくさん語り合ったね。その中で君は、今の道を辞めて宇宙に携わる仕事がしたいと言ってたね。そのときの目がとてもキラキラしていたのを覚えています。

僕が卒業してからしばらく疎遠になったけど、久しぶりに連絡してみたら、心身を壊して実家で休んでいると聞いて驚きました。人間関係の悩みや、女子部の主将としての重圧もあったんだろうね。

このままだと卒業が危ぶまれるのを知って、どうにかこの子を学校に復帰させて卒業させないと、という使命感に駆られました。成績も優秀で、将来大きな夢を持っている君を、こんなところで潰されてはいけないと必死でした。

それからは今まで自分が学んできた知識と経験を総動員して、いろんなアドバイスしたね。君はそれにちゃんと応えてくれて、なんとか学校に戻れるようになり、無事に卒業できると聞いたときは安心したよ。

僕が学んできた学問は世間ではあまり実用性がないと言われているけど、そのとき初めて自分の学んできたことが役に立って嬉しかったな。それが今もいろんな人の相談に乗ったりする原点になってたんだと、最近気づいたよ。

卒業してからは留学したり、希望していた宇宙関連の企業に就職したってのは風の噂で聞いたけど、最近はどうしてるのかな?でも君のことだから着実に夢を実現していってるんだろうね。

それが自分のことのように嬉しいな。またいつかどこかで会える日がくるのかな。そのとき君はもっとキラキラと輝いているんだろうね。



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