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首里城と御城プロジェクト:REのこと。

昨年の10月31日、首里城が炎上し、正殿や南殿などが焼失してしまった。その日は朝4時頃に妹からLINEが来て起きて、寝ぼけ眼でその映像を見たのだけど、夢かと思ったくらい、現実味が無かった。地元が首里だった自分にとっては、10年近く毎日の通学路で眺めていた首里城があんな姿になるなんて、信じられない気持ちで一杯だった。

あれから8か月以上経ち、世界的に大きな影響を与えたコロナ禍もあったのでだいぶ昔に思ってしまうけれど、先月からようやく正殿の遺構の公開が再開されたようで、何とか少しずつ再建に向けては進んでいるようだ。
ちなみに正殿の遺構とは、今回焼失してしまった正殿(復元)の地下に残る、昔の正殿の遺構のことだ。

自分にとっての首里城は、正に地元の誇り。小学校も高校も首里城のすぐ隣の学校だったので、小学校の頃はほぼ毎日守礼門を通って下校しては放課後は隣にある池(龍潭池)で釣りをしていたし、高校の頃もよく首里城公園の芝生で夜にクラス会をしていたので、いわゆる”自分たちの庭”のようなものだった。そして首里城正殿は30年ほど前に再建されたのだけれど、うちの小学校では希望者は再建される赤瓦の裏に名前を入れることが出来たので、自分ももちろん喜んで記入したことを覚えている。
そう考えると、その30年前に自分が名前を書いた赤瓦も、今回焼失してしまったということになるので、自分の中の大切な思い出を失ってしまったような喪失感に襲われてしまった。

今年の1月にようやく沖縄に帰るタイミングがあって、焼失した首里城を見てきたけれど、何ともやるせなくてやるせなくて・・・。
ただ、ガイドとして現地で案内してくれた方が、自分のことを観光客だと思って「沖縄の人で頑張って再建させますよ!」と言ってくれていて、それはとても心強かったと同時に、「あぁ、自分はもうある意味部外者なんだなあ」と痛感してしまった。18年生まれ育った首里の街を出てもう20年、首里の”今”は自分の中には流れていないのだから。

とまあここまで真面目に首里城について語ってきたのだけれど、少し嬉しいことがあってこの稿を書いている。

実は去年の年始あたりからソーシャルゲームにハマっていて、それ以来ずっとやり続けているゲームがある。ドラクエウォークやポケモンGo、どうぶつの森ポケットキャンプなどのキラーコンテンツは途中で止めてしまったのに、何故か軽い気持ちで始めたこのゲームの方が長くやり続けているというのも不思議。そのゲームがDMM GAMESが運営するタワーディフェンス(TD)ゲーム「御城プロジェクト:RE(通称"城プロ")」である。

城プロは日本や海外の御城を擬人化して女性キャラクターにしたゲームで、そのゲームとしての戦略性の高さとこだわりぬいたキャラクターデザインで一部の歴史好きやTD好きの間では人気だったりする。大ブームを巻き起こした”艦隊これくしょん”が戦艦などを擬人化しているけれど、それのお城版が「御城プロジェクト」という名前で出たということで自分が最初にやり始めたのが2014年。ただその時はゲームシステムやバランスに問題があり、1年も経たずにサービス休止をしてしまい、自身の興味も失われてしまっていた。

それが昨年、ふとしたきっかけで「御城プロジェクト:RE」としてサービスを再開していることを知った。そして久々にログインしてみると当時のキャラクターがまだ残っていて懐かしくなり、そこから1年半、ほぼ毎日プレイするほどにのめり込んでいるのだ。あれだけ「ギャルゲーや萌えゲーは苦手なんだよなあ」とか「お城とか武将を女性化するのってどうなの?」と懐疑的な立場を取っていたにもかかわらず、だ。

その城プロの魅力は沢山語れるのだけれど、今回はそれが主旨じゃないのでまた別の機会に譲るとして、首里城の話に戻ろう。昨年の首里城が焼失した後、自分は城プロの運営に初めて問い合わせフォームから意見を送った。その内容というのが「自分は首里が地元で今回のことが大ショックだった。首里城は城プロの中でも人気キャラ。5ちゃんねるの城プロスレッドなどを見ると同じように皆ショックを受けていて、カンパしたいという声も多かった。だから”首里城応援パック”のようなものを販売して、その売り上げを寄付するといったことはできないか?」というもの。結局その問い合わせには返事は来ず想いは届かないのかと意気消沈していたのだけれど、今月からの夏キャンペーンがなんとその想いを酌んでくれていたのだ。

7月にログインをしたユーザー全員に、「”夏限定”の首里城」がプレゼントされることになった。そして同時に始まった期間限定のシナリオの中では首里城焼失を匂わせるセリフがあり、そのやり取りにほっこりしてしまった。

(首里城)
皆喜んでたねぇ。
招待してくれてありがとー、って皆言ってたさ~。
(甘崎城)
……そうですか。皆に楽しんでもらえて良かったです。
……それに、わたしも嬉しい気持ちでいっぱいですぅ。
首里城の笑顔を見ることができましたから。
(首里城)
……え?
(甘崎城)
いつからかは分からないですが、わたしは……もう長い間、
以前のような首里城の笑顔を見てなかった気がするです。

理由を聞く気はないです。
けど……笑顔は多いに越したことねーです。

だから、首里城がみんなと一緒にわいわいして、スイカ割って、食べて……笑顔になる。
これを見れてわたしも、はっぴーな気持ちになったです。
(首里城)
…………。
……そっか。
(甘崎城)
そうです! ま、城に戻ってからもまだまだ楽しむつもりですけどね!
枕投げとか、やるべきことは山積みです!
(首里城)
あははっ。甘崎城ちゃんは元気だねぇ~。
(甘崎城)
あったりめーですっ!
十人のうち九人には『甘崎城は元気だけが取り柄だね』って言われるくらいですから!
(首里城)
それは褒められてない気がするけど……あはは……。

といった会話のやり取りは、自分を含めあの時に運営側に意見を寄せた、ファンたちの首里城への想いへの回答なのだと感じた。いやあ、粋じゃないですか。寄付などを理由に金儲けへ走らず、こうしてエールを贈ってくれる運営に感謝。

というわけで、歴史好き、お城好き、タワーディフェンスゲーム好きな人でまだ城プロを始めてない人は是非この機会に! 殿だち(城プロ仲間のこと)になりましょう~!!

【追記】

これだけだとなんかまだ城プロの魅力を伝えられていないので、あくまで簡潔にまとめてみる。

・歴史好きも唸るほどのこだわりのデザイン

擬人化・女性化されたお城達のデザインは、萌え要素が前面に出ていてあまり細部を見るのも恥ずかしかったりするのだけど、実はめちゃくちゃこだわって作られていて、衣装の一つ一つ、特技や計略というゲーム内の特徴や武器まで、しっかりと考証をしてそのお城にまつわる逸話や特産品などをモチーフに描かれている。その点は歴史好きではあればあるほど唸らされる。その細かい設定の検証は「城プロRE 攻略 Wiki」で解説されている。
そしてステージの一つ一つも実際の古戦場や城郭をモチーフにしてデザインされていて、実際の写真と見比べるのも楽しみの一つ。

・ガチャのレアキャラに頼らず攻略できるゲームバランス

そもそもソーシャルゲームはユーザーに課金してもらわなければ運営が成り立たないわけで、そうなると強いキャラクターは課金、つまりガチャをしなければ取れないわけで、ゲーム内の最難関ステージ(いわゆるエンドコンテンツ)にはそのレアキャラで固めないと通用しないというゲームがほとんど。そのために廃課金プレイヤーが生まれるわけだけど、こと城プロにおいては、もちろん強キャラが居れば攻略がだいぶ楽なものの、試行錯誤していけば無課金でも十分クリアできるほど、ゲームバランスが良い。
だからこそ無課金プレイヤーも微課金プレイヤーも廃課金プレイヤーも、それぞれがそれぞれの方法で楽しめているのだと思う。そして自分が続いているのもそれが理由。ある程度課金しないと先に勧めない他のソーシャルゲームは一定のところで飽きてしまう(というか諦めてしまう)のだけれど、城プロはそれが無いので、ずっと続けられているのだと思う。

・生放送やYouTubeが面白い

城プロは年に2回ほど公式で生放送を行っていて、司会に”れきしクン”(長谷川ヨシテル、歴史タレント)とアメリカザリガニの平井さん、そしてゲストに毎回声優陣を招いての2時間番組がとにかく面白い。ゲームの魅力に声優さんたちの魅力がギッシリという感じ。
そして今年になり司会をしていたれきしクンがいよいよ実際にゲームをやり始め、その模様をYouTubeで配信し始めたのだけれど、それがまた面白いという。歴史の小ネタを楽しみながらゲームで苦戦する模様を見るという楽しみ方もオツです。


そんなことで、歴史好きにこそお勧めしたいこのゲーム。是非に!


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