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10年の歳月を思う、震災復興の旅【鉄旅オブザイヤー応募作品】

今日3月11日は、忘れもしない東日本大震災が起きた日。それから10年が経ちました。今日一日、日本中であの日のことを思い出していると思いますが、そんな中で僕も少し書いておこうと思います。

10年前の今日、僕はと言うとちょうど今の会社に入社して4ヶ月目。地震が起きたあの時間はと言うと、当時赤坂見附にあった会社のオフィスから、虎ノ門のアポ先へと徒歩で移動してたんですよね。電車ではなく徒歩だったというのがある意味ポイントだったなと。

そして地震の時間、15時アポに向けて虎ノ門付近を歩いていた時にグラグラ来ました。歩いていた人たちは悲鳴を上げながら車道の中央へ移動。皆不安顔でしたね。その後、一応予定通り15時のアポに行ったわけですが、アポの途中で大きめの余震が合ってお客さんと一緒に机の下に隠れたことを思い出します。

アポは結局ほぼ集中できずにお開きとなって帰社するんですが、電車が混乱しているのは分かっていたのでまた歩いて帰ったわけですが、虎ノ門から溜池山王の少し古めのビル群の多くはガラスがだいぶ割れてまして、歩道にはその砕け散ったガラスが落ちているのが怖かったことを覚えています。

その後会社はその日は解散となり、スマホでNHKを見ていて大津波のことを知り、ここで初めて想像以上の大事だと気付くわけです。結局電車もほぼ動いておらず赤坂見附からは歩いて帰りました。当時の妻と合流するために遠回りしたので東京タワーの下を歩いたんですが、その時の東京タワーは綺麗でした。

その後の一週間は会社に出社しなくて良くなり、計画停電だったりテレビで放映され続ける各地の被害状況に心が痛んだり、世界中から届くPray for Japanの声に勇気づけられたり。当時を思い出すと非日常だったなあと思います。まあこの一年はずっと非日常が続いてしまっているわけですけどね。

あれからしばらく経ち、なかなか被災地を巡ることも無かったのですが、転機になったのは2018年でした。3月11日に偶然にも仙台出張がずれて九州から飛行機で仙台空港に降り立つことになり、またこれまた偶然にも地震のあった時間に津波が襲った海岸線を見下ろしながら降り立つことになったので、空港の中で黙とうを捧げました。と同時に自分はまだまだこの震災の記憶を残せていない、被災地の現状を知らないという事に気付いたんです。

そこから、ようやく僕の被災地巡りが始まりました。

毎月ある仙台出張がうまく土日に繋がるタイミングがあれば、仙台から少し足を延ばして被災地を見学したり。夏休みには三陸沖を巡ったり。昨年は新しく誕生した「東日本大震災遺構・伝承館」にオープン日に訪れることが出来たり。そんな経験を何とかまとめたいなあと思っていた時に「鉄旅オブザイヤー」に出会い、この応募作品が生まれました。

企画意図

東日本大震災から2021年でちょうど10年・・・。いつまでもそのことを忘れないために、被災地を巡る電車旅を企画しました。

まずは2019年に全線開通した常磐線に乗って、富岡町の「東京電力廃炉資料館」や双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」、そして10年近く放棄されていた双葉町の街並みを見て原子力災害の実態を体感。
そして未だ電車として復旧されていない気仙沼線や大船渡線をBRTで北上しながら、「奇跡の一本松」「釜石祈りのパーク」、大槌町の語り部ガイドを体験し、三陸沖の海岸線の津波被害の遺構を巡っていきます。

10年の月日の中で、新たに生まれた施設(伝承館やパークなど)もあれば、地元で協議しながら解体された施設(旧大槌町役場跡地)もあり、また当時のまま残された施設(旧女川交番や気仙中など)もある。被災地の人々が葛藤の中で、何とかその記憶を後世に残そうとする思いを感じる電車旅です。

【訪問地】
東京電力廃炉資料館、東日本大震災・原子力災害伝承館、双葉町の街並み、女川シーパルピア、旧女川交番、南三陸さんさん市場、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館、高田松原津波復興記念公園(奇跡の一本松)、旧陸前高田市気仙中、釜石祈りのパーク、大槌町語り部ガイド(旧大槌町役場跡地、蓬莱島)

ツアータイトル

10年の歳月を思う、震災復興の旅 ~福島・浜通りと三陸沖を訪ねて~

ツアー旅程

上野駅を出発し、2020年に全線再開した常磐線に乗って福島県の原子力災害の今を見つめ、その後は三陸沖の海岸線をBRTや三陸鉄道を乗り継いで、津波被害の街並みを見ていきます。
10年経った今、新たに建てられた施設と、逆に解体されてしまった施設、そして当時から残る施設。それぞれを見ながら、震災からの10年を体験していく電車旅です。

【1日目】
上野駅~(ひたち)~いわき~(常磐線)~富岡駅・東京電力廃炉資料館~(常磐線)~双葉駅・東日本大震災原子力災害伝承館~(常磐線)~仙台駅~(仙石線)~石巻駅、宿泊

【2日目】
石巻駅~(石巻線)~女川駅・旧女川交番・女川シーパルピア~(石巻線)~前谷地駅~(気仙沼線[BRT])~志津川駅・南三陸さんさん市場~(気仙沼線[BRT])~陸前階上駅・気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館~(気仙沼線[BRT])~気仙沼駅、宿泊

【3日目】
気仙沼駅~(大船渡線[BRT])~奇跡の一本松駅・高田松原津波復興祈念公園・旧陸前高田市立気仙中~(大船渡線[BRT])~盛~(三陸鉄道リアス線)~鵜住居駅・釜石祈りのパーク~(三陸鉄道リアス線)~大槌駅・大槌町語り部ガイド~(三陸鉄道リアス線)~宮古駅~(山田線)~盛岡駅~(はやぶさ)~上野駅

詳細資料


この応募作品は、お陰様で「鉄旅オブザイヤー2010」の一般部門の最終候補に残っています。82作品中の4作品。最終結果がどうなるか分かりませんが、コロナの影響で発表も遅れているので、今日この日に自分で公開させていただきました。


今日のニュースを見ていて「被災地の今を知りたい」と思った人が居たのであれば、是非この旅程を参考にしてみて貰えれば幸いです。


最後に、ここまで書いておいてなんですが、アンサイクロペディアより今日という日の解説を記しておきたい。

2011年の3月11日には宮城県沖を震源とする東日本大震災が発生した。
それを受けて翌年以降3月11日は震災を考える日として黙祷をささげ決意を新たにする日だという人たちもいる。ただ誰かにとって祈るべき日は誰かにとっての誕生日であり結婚記念日であったりもするのだ。だからこそ今日はあくまで普通の日である。震災関連ではないイベントを開くことや、地震のことを考えないでいることを不謹慎と批判するのはおかしい。
3月11日は前を向いて生きていく366日のうちの一日であり、普段と同じように、楽しむことは楽しみ頑張るべきことは頑張る日なのだ。復興を祈る心は当然必要である。しかし、同時に誰かの幸せを祝う気持ちも忘れてはならない。(出典:アンサイクロペディア

東北地方の復興を強く願いつつ。


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