100日後に年越すオレ 48日目「幻のご当地B級グルメ”メアベア”」
昨日、三重に出張があり、久しぶりに津の街も訪れました。いつも仕事では四日市止まり、逆にプライベートだと伊勢まで直行することが多いので、津で降りることはあまりないんですよね。たぶん5年以上ぶりかもしれません。
偶然にもちょうどこの日は津藩の藩祖である藤堂高虎公の命日だったので、津城跡の高虎像も見物しつつ、すぐそばの場所で仕事を済ませて向かったのが創業明治44年の老舗洋食店・中津軒。
津は昔ながらの城下町ということもあるのか、古くからの洋食店がちらほらあって、中津軒以外にも東洋軒や入栄軒があります。どのお店も100年以上の歴史です。あとは戦後の開業ですが、味噌カツ発祥のカトレアもありますね。
そんな中から中津軒を選んだ理由はというと、やはり名物の”メアベア”を体験したいからでした。
”メアベア（Meyerbeyer）”とは何かというと、東海地方の限られた老舗洋食店にのみ伝わる、謎のB級グルメ（ご当地グルメ）。まあB級グルメの定義は何だ、という話もあるけれど、このメアベアは明治時代から伝わる西洋料理なのですよ。そして元々このメアベア（他のお店ではミヤビヤ、ミヤベヤと呼んでいる）の由来というのは、一説によると”マイヤベーア”という西洋料理が日本に伝わり、賄い飯のような形で残ったのではないか、と言われているそう。というのも今も残る提供店は、歴史が古いということ以外に直接的な接点は無いというのだから、謎が謎を呼ぶんですよね。しかも日本でも東海地方のみだし。
これまで食べられたお店は以下の老舗洋食店4店で、そのうち1店が昨年で閉店したとのこと。そのお店は以下。どれも100年以上の歴史を持つお店で、そうしたお店でのみ伝わってるんですね～。ほんと謎。
・愛知県名古屋市：勝利亭（明治42年創業）の"ミヤビヤ" ※昨年閉店
・愛知県知多郡武豊町：享楽亭（大正元年創業）の"ミヤビヤ"
・三重県津市：中津軒（明治44年創業）の"Meyarbeyar(メアベア)"
・岐阜県岐阜市：あじろ亭（明治40年創業）の"ミヤベヤ"
というわけで、期待に胸を膨らませつつ運ばれてきたのがこちら。
ちなみにご飯は別注文が必要です。
これがアップ。レシピ自体はお店によって若干異なるようですが、共通するのは肉と玉ねぎなどをデミグラスソース（場合によりトマトソース）で煮込み、それをグラタン皿で焼いて上から卵をのせる、というもの。
ここ中津軒のメアベアは、なんと牛肉豚肉鶏肉の3種類入り、そしてそれに玉ねぎがたっぷり。他のお店は海老だったりチキンだったり、野菜もしいたけが入っていたりとバリエーションがありますが、個人的にはここ中津軒のレシピが好みだと思われます。ちょうど良かった。
半熟の卵をスプーンで崩すとこの通り！ うまいっす。
味はというと、デミグラスソース＆肉と玉ねぎっていうことで、イメージはハヤシライスとビーフシチューの間くらいな感じです。ライスと共に食べると正にそんな感じなんですが、グラタン皿で熱々にしてるんで、フーフーさましながら口に運ぶというのが新鮮。うん、いいですね～。
というわけで完食です。ちなみにご飯は少なめを注文したのですが、それでちょうど良かったかなと。
一応、別注文でポタージュスープも頼みました、こちらもしっかりと煮込まれたスープで美味。
ちなみにメアベア以外にもハヤシライスやシチュー、オムライス、ピラフにカツレツなど、古き良き洋食店としてのメニューも充実してます。
そして写真は撮れなかったのですが、店内がまたレトロ。レジの後ろにはなんと東京オリンピック（もちろん2020ではなく前回の）のポスターが飾られていたりして、ここだけ昭和の空気が流れていました。
外観はこんな感じです。歴史と趣を感じさせますね。店内には地元のお客さんが多く賑わっていました。
ちなみにこの料理については「復活させよう」という機運が高まっているようで、前述のように昨年閉店となった名古屋の勝利亭があった商店街ではプロジェクトが発足し、その商店街から立候補したお店がそのお店独自アレンジの”ミヤビヤ”を出すようにしたのだとか。あとは津島市のお店でも出すようになったようです。
こうして”絶メシ”は次世代に継承されていくんですな～。今度名古屋に行ったら食べてみたいと思います。
謎のご当地グルメ、東海地方に行く機会があれば是非どこかのお店で食べてみてください。どのお店もこのコロナ禍でも懸命に営業していますが、名古屋のお店のように後継者問題で閉店、という未来が来てもおかしくないと考えると、食べられるときに食べるというのがいいんじゃないかなと。カレー好き、ハヤシライス好き、洋食好きにとっては外れの無い味ですよ！
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