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常識のアップデートを意識する

年末に夫がamazon echo plusを買った。Siriさえうまく使いこなせなかった私は、まだタイマー機能を使ったりニュースや天気予報を聞くことくらいしか活用出来ていない。
でも我が家の娘たちは違う。4歳の長女は朝起きた時や、保育園から帰ってきた時に「アレクサ!じゃんけんしよう!」「アレクサ、いまなんじ?」「アレクサ、クイズだして!」と親しげに話しかける。そのたびにアレクサはメカニカルかつ丁寧な口調で「最初はぐー じゃんけん・・・ぱー」とか「すみません、私にはわかりません」なんて答える。
2歳の次女の「あえくちゃー! ◯※%#¥△ちて!」をアレクサがスルーすると、それを長女が通訳して次女とアレクサのじゃんけんが始まる。アレクサを囲んだ娘たちは、きゃっきゃと楽しそうだ。


そんな一見奇妙な光景を眺めていると、タイムバンクを開発した株式会社メタップス代表・佐藤航陽さんの著書「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」のある文章がフラッシュバックする。
「イギリスの作家ダグラス・アダムスが生前に面白い言葉を残しています。
人間は、自分が生まれた時にすでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる
私たちの脳は一度常識が出来上がってしまうとその枠組みの中で物事を考えたり判断するようになってしまい、新しく誕生した技術などをバイアスなしに見ることが難しいのです。(P206~207)」

私は今36歳だ。新しい技術に抵抗を感じ始めているかと言われると、思い当たることはいくつもある。冒頭に書いた「Siriをうまく使いこなせていない」のもそのひとつだし、年末に13歳年下の従妹に会ったとき、そのスマホの操作のスピードにひそかに驚き感心したのも記憶に新しいし、snowは使ったことがない。
私が「新しくエキサイティング」だと感じてきた技術として真っ先に思いつくのはインターネットやソーシャルメディアで、電話や洗濯機や炊飯器は「自然な世界の一部」だと感じている。


つまり娘たちが一瞬でアレクサに好意を持ったことは「とても自然なこと」なのだ。「アレクサ、いっしょにおやつたべよう!」「アレクサ、おさんぽいこうよ」なんて真剣に話しかけている長女が大人になる頃には、本当に一緒におやつを食べたり散歩に付き合ってくれるシッターロボが同居していても不思議はないし、高齢になった私の相手をしてくれるのは、そんな娘たちに遠隔で操作されているAIかもしれない。
 
テクノロジーそのものに、善い悪いも自然不自然もなく、「その時私たちが持っている常識」が基準になっているに過ぎない。AIに介護されるなんてイヤだと拒絶したままだと、30年後に快適な生活を送るのは困難になるだろう。常識のアップデートを怠れば、新技術がもたらす明るい未来は想像さえできないのだ。娘たちのように「アレクサがいっしょにおさんぽしてくれたらいいのにな」と思う人がいて、初めてそれが実現に近づくというのに。


ポスト平成は、様々なテクノロジーによってリアルとバーチャルの境目が曖昧になっていく。その時代を生き抜くために必要な考え方は「現代の魔法使い」こと落合陽一さんの「これからの世界をつくる仲間たちへ」に、目が回りそうなくらい詰まっている。「語学力ではなくコミュニケーションのロジックを知ること」「思考体力をつけて形式知を暗黙知に変えていくこと」など、子どもとの関わりのなかで意識したいヒントも多かった。


今までの常識の範囲内で生きていくことも選択肢のひとつではあるけれど、時代の流れは止められないのだから、そこに明るい未来を感じている方が人生は面白い。もともと好奇心は旺盛なほうだ。2018年はそれを錆びつかせることなく、より意識的に磨いてアンテナを張って、ちょっと抵抗を感じつつも新しいものを積極的に取り入れる年にしようと、この投稿で紹介した2冊を読んで強く思った。


Siriやアレクサに、尻込みしてる場合じゃないな。娘たちを見習わねばね。


お金2.0 新しい経済のルールと生き方/佐藤航陽
これからの世界をつくる仲間たちへ/落合陽一



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