ふくだりょうこ

大阪出身。主に女性向け恋愛シミュレーションゲームのシナリオを書いているフリーライター。

ふくだりょうこ

大阪出身。主に女性向け恋愛シミュレーションゲームのシナリオを書いているフリーライター。

マガジン

  • 深夜の手帳じかん

    毎日、夜中に手帳を開いて1日を振り返るように。人生のわくわく探し記録帳

  • Sugomori 2021年6月号

    • 11本

    「暮らし」をテーマにさまざまなジャンルで活躍する書き手たちによる小説をお届けします。 毎週月曜・木曜に新作を公開予定です。

  • 締切は明日です

    フリーライターの日常。仕事の話、夫婦2人で生きていく話、女の話、創作の話、痛い話。ちょっと声を大にしては言いづらい話も書いていきます。課金継続マガジン『ものくろからふる』お試し版。 とは言え、大半はのほほんとした内容になります。通勤・通学の合間に、暇つぶしにどうぞ。

記事一覧

「あーあ」。

いま、実家じまいをしている。 いらないものを捨てて、捨てて、不用品は引き取ってもらって。ひたすら、捨てる作業と言っても過言ではない。 家は屋根と床に穴が開いた家…

「好きな人との結婚」5話

 家の中に入ると、おいしそうな匂いが鼻をくすぐり、なんだか気が抜けた。  そしてパタパタと軽い足音がし、啓人が玄関まで出迎えに来てくれた。こんなこと、滅多にない…

6

「好きな人との結婚」4話

 どうして、妻である私以外の女性と、ホテルに入ったんですか。  たとえば、たまたま具合が悪い女性がいて、休ませるためにホテルに入ったのだと言われたとしても信じよ…

6

「好きな人との結婚」3話

 春日さんは帰って啓人と話せ、っていたけれど、なんとなく家に帰るのは気が重かった。アドバイス通り、素直な気持ちを話してみようと思ったけれど、自分の気持ちがフワフ…

6

「好きな人との結婚」2話

 友人たちとの長めの飲み会を終えて自宅の最寄り駅まで帰ってくると、改札の外に啓人の姿があった。  壁にもたれてぼんやりとしている横顔に、ぎゅっと胸が締め付けられ…

8

「好きな人との結婚」1話

 ベッドにもぐりこむと、先に寝ていた啓人がすり寄ってきた。  私の胸に顔を埋めて、腰に腕を回し、ぎゅうっと一度体を抱き締めたあと、ふっと力が緩む。蒸し暑い季節だ…

22

【エッセイ】お母さん、あの女は誰ですか?

コーンフレークという食べ物を知ったのは5歳のときだった。 うちに住んでいた女子大生が朝ごはんにいつも食べていた。Tシャツにショートパンツ姿で、眠そうにしながらコー…

33

昔は一回100円だったよね。

ブームですね、トイカプセル。 大型商業施設でテナントが空いたな、と思っていたら、いつの間にかガチャガチャの森とか沼になっていて驚く。 そして、例外なく私もガチャ沼…

7

忘れないうちに振り返っておきたい上半期に買ってよかったもの7選

2024年がもう下半期突入だなんて信じられない。 ということで、個人的に上半期に買ってよかったものを紹介しておきたい。 毎年、年末にやろうと思うんだけど、12月には上半…

13

紙で時間を溶かす。

仕事の打ち合わせで蔵前へ。 これを機に、気になっていたお店に行ってみよう! ということで打ち合わせ後にぶらりと蔵前さんぽです。 念願のカキモリ “「たのしく、書…

22

心は幼児のほうが楽しいかもしれない。

3COINSって毎回いろんなアイディア商品を出しているよなあ、といつも感心している。 企画する人が「あるといいな」を実現している感じなんだろうか。痒いところに手が届く…

9

やることなすことゴリラで困る。

小説を書いたりなどするのだけれど、常々、プロットに使うのに良いノートはないかしら、と思っていた。 今まではミスプリントしたコピー用紙の裏に書いてクリアファイルに…

12

楽しいことを探しに行こう。

4月の下旬頃から、気持ちの調子がどうにも良くなかった。やる気が出ない、夜に何度も目が覚める、食べたいものがない、「私なんて……」としか思えない。他人からの言葉に…

16

急に足りないと言われましても。

ある日、突然、夫が「お弁当の量が、足りない」と言い出した。 うん、知ってた。作っているので。 「かわいいの買ってきた!」とうさぎ柄のお弁当箱を持って帰ってきた夫。…

9

シールのファイル収納

大人になってからもついついシールを買ってしまう。 ロフトやハンズに行くと「こんなんなんぼあってもええですからね」と言いながら買ってしまう。なんぼあってもいいのは…

12

小田原城あじさい花菖蒲まつり

何かいつもと違うことがしたい、と思い、夫に「紫陽花を観に行きたい」と言ったら小田原城に連れていってくれた。 6月1日から16日まで「小田原城あじさい花菖蒲まつり」が…

9

「あーあ」。

いま、実家じまいをしている。
いらないものを捨てて、捨てて、不用品は引き取ってもらって。ひたすら、捨てる作業と言っても過言ではない。

家は屋根と床に穴が開いた家で暮らし、雨漏りだらけ。
無駄に多い食器、煙草のヤニで煤けた大量の本。
湿気で開かなくなった棚。
電気系統もあちこちイカれていて、電気がつかない部屋も多い。

それでも、ようやく父が、子どもたちの説得に応じて引っ越しが決まった。
年金も払

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「好きな人との結婚」5話

「好きな人との結婚」5話

 家の中に入ると、おいしそうな匂いが鼻をくすぐり、なんだか気が抜けた。
 そしてパタパタと軽い足音がし、啓人が玄関まで出迎えに来てくれた。こんなこと、滅多にない。珍しい行動に、ただいまの言葉を忘れていると、啓人が「おかえり!」と元気よく言い、私に抱きついてきた。
「た、ただいま……どうしたの?」
「今日はちょっとお祝いをしたくてね。急いで帰ってきて料理を作っていたんだ」
 ほらほら、と急かすように

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「好きな人との結婚」4話

「好きな人との結婚」4話

 どうして、妻である私以外の女性と、ホテルに入ったんですか。
 たとえば、たまたま具合が悪い女性がいて、休ませるためにホテルに入ったのだと言われたとしても信じようと思った。嘘でもいいから、不倫以外の理由があるのならそれでよかった。啓人の唇がわずかに動いて、息が漏れた。心臓が動く音が、うるさいほどに大きい。
「ねえ、啓人。ホテルで何をしていたの?」
「ボランティア」
「ぼ……っ、らんてぃあ?」
 啓

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「好きな人との結婚」3話

「好きな人との結婚」3話

 春日さんは帰って啓人と話せ、っていたけれど、なんとなく家に帰るのは気が重かった。アドバイス通り、素直な気持ちを話してみようと思ったけれど、自分の気持ちがフワフワしすぎて、うまく言葉にできない気がした。
 それに、ただの欲求不満なんだとしたら、なんだか嫌だな、とも思った。
 そんなことを考えごとをしながらフラフラと歩いていると、男性に声をかけられた。
「さっきから、同じところをずーっとぐるぐる歩き

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「好きな人との結婚」2話

「好きな人との結婚」2話

 友人たちとの長めの飲み会を終えて自宅の最寄り駅まで帰ってくると、改札の外に啓人の姿があった。
 壁にもたれてぼんやりとしている横顔に、ぎゅっと胸が締め付けられる。『今、どのあたり?』というLINEが来ていたのでもしかしたら、と思っていたけれど、さっきまで漠然と感じていた不安が霧散していく。
 改札を抜けて駆け寄ると、啓人はこちらを見て微笑みスッと私の手を握った。
「おかえり」
「ただいま。迎えに

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「好きな人との結婚」1話

「好きな人との結婚」1話

 ベッドにもぐりこむと、先に寝ていた啓人がすり寄ってきた。
 私の胸に顔を埋めて、腰に腕を回し、ぎゅうっと一度体を抱き締めたあと、ふっと力が緩む。蒸し暑い季節だけれど、季節を問わず、啓人からこんなふうに触れられるのが好きだ。
 私はよしよし、というように啓人の頭を撫でたあと、柔らかい髪をくるくると指にからめとる。ふわりと甘い香りがして、それをできるだけたくさん吸い込みたくて、大きく深呼吸をした。

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【エッセイ】お母さん、あの女は誰ですか?

【エッセイ】お母さん、あの女は誰ですか?

コーンフレークという食べ物を知ったのは5歳のときだった。
うちに住んでいた女子大生が朝ごはんにいつも食べていた。Tシャツにショートパンツ姿で、眠そうにしながらコーンフレークが入った皿に牛乳を注ぐ。
初めて見る食べ物を思わずジッと凝視していた。
お菓子? ごはん? どっちなんだろう。
私の視線に気づいたその人が「食べる?」と皿を寄せてきた。興味をひかれて手を伸ばそうとしたところで「やめておきなさい」

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昔は一回100円だったよね。

昔は一回100円だったよね。

ブームですね、トイカプセル。
大型商業施設でテナントが空いたな、と思っていたら、いつの間にかガチャガチャの森とか沼になっていて驚く。
そして、例外なく私もガチャ沼の浅瀬でチャプチャプしている。
昨日も帰りに回してきた。

いちおう、いくつか回すときのルールがあって、
・その日使うと決めた以上の金額は使わない。
・迷ったら回さない。
のふたつ。

昨日はちょっと金額設定が高めだったので多め。
その場

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忘れないうちに振り返っておきたい上半期に買ってよかったもの7選

忘れないうちに振り返っておきたい上半期に買ってよかったもの7選

2024年がもう下半期突入だなんて信じられない。
ということで、個人的に上半期に買ってよかったものを紹介しておきたい。
毎年、年末にやろうと思うんだけど、12月には上半期の記憶なんて失ってしまっているので……6月末でもすでに1月の記憶があんまりないもの。忘れないうちに振り返っておきましょ。

カメラ

上半期で一番大きな買い物というとミラーレス一眼。

今までは夫の一眼レフを借りていたのだけれど、

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紙で時間を溶かす。

紙で時間を溶かす。

仕事の打ち合わせで蔵前へ。
これを機に、気になっていたお店に行ってみよう! ということで打ち合わせ後にぶらりと蔵前さんぽです。

念願のカキモリ

“「たのしく、書く人。」のための文具店”というのがすでにステキ。
オーダーノートやオーダーインクが作れることでも有名。外国からの観光客も多くて、平日の開店直後だったのに賑わっていました。

お目当てはオーダーノート。
文具好きでなくても、自分のためだけ

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心は幼児のほうが楽しいかもしれない。

心は幼児のほうが楽しいかもしれない。

3COINSって毎回いろんなアイディア商品を出しているよなあ、といつも感心している。
企画する人が「あるといいな」を実現している感じなんだろうか。痒いところに手が届くというか。
見ているだけで楽しいので、店を見かけるとついついパトロールしてしまう。

時代はガチャガチャ

というわけでカプセルトイコレクションを購入。

色がシックで良いな。ビビッドなカプセルトイが多いから映えるよね。

夫のちいか

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やることなすことゴリラで困る。

やることなすことゴリラで困る。

小説を書いたりなどするのだけれど、常々、プロットに使うのに良いノートはないかしら、と思っていた。
今まではミスプリントしたコピー用紙の裏に書いてクリアファイルにまとめていた。わりとぐちゃぐちゃな字で書いている。
でもたまに、その紙がどっか行ったりすることがあって……そう、字がぐっちゃぐちゃだから自分で間違えて捨てちゃうのだ……。
あと、空き時間にメモするときにサッと取り出せないのが地味にストレスで

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楽しいことを探しに行こう。

楽しいことを探しに行こう。

4月の下旬頃から、気持ちの調子がどうにも良くなかった。やる気が出ない、夜に何度も目が覚める、食べたいものがない、「私なんて……」としか思えない。他人からの言葉に激しく自己嫌悪に陥る。一番は何に対してもワクワクできなくなって、すごく悲しかった。
「この仕事が終わったらあれをしよう」とか「「○○楽しみだなー」という気持ちが一切なくなって、おしゃれをしたり、肌ケアもする気が起きなくなった。恐ろしいもので

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急に足りないと言われましても。

急に足りないと言われましても。

ある日、突然、夫が「お弁当の量が、足りない」と言い出した。
うん、知ってた。作っているので。
「かわいいの買ってきた!」とうさぎ柄のお弁当箱を持って帰ってきた夫。
確かにかわいいんだけど、全然入らないんだわ……ごはん入れたらおかずがちょこっとしか入らない。ほんと、子どもの量なんだよな、と思っていたし、あんまり入らないと作り甲斐がない!10分で作れるからいいっちゃいいんだけど!

というわけでこれま

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シールのファイル収納

シールのファイル収納

大人になってからもついついシールを買ってしまう。
ロフトやハンズに行くと「こんなんなんぼあってもええですからね」と言いながら買ってしまう。なんぼあってもいいのはお金だけですよ……。

あふれるシールをどうにかしたい。
ということで、先人たちの知恵もお借りしつつ(主にインスタ)シール収納に四苦八苦した結果、ようやくしっくりくるものに落ち着いた。

必要なものだいたいセリアで調達。
まずはファイル。

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小田原城あじさい花菖蒲まつり

小田原城あじさい花菖蒲まつり

何かいつもと違うことがしたい、と思い、夫に「紫陽花を観に行きたい」と言ったら小田原城に連れていってくれた。

6月1日から16日まで「小田原城あじさい花菖蒲まつり」が開催されているらしい。
神奈川で紫陽花の名所というと長谷寺が思い浮かぶけど、ほかにも箱根や開成が名所なのだそう。知らなかった。

平日の15時過ぎでもわりと人出も多め。
花が見られるのは小田原城の東堀と花菖蒲園。そこまで広くはないけれ

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