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義足をつけることより大事なこと

先日、お邪魔したお家でのことです。

片足でもなんとか動きたい、植木に水をあげたい!という方。
どうやったらできるか、おうちの環境を整える相談でした。

どんなふうにしたらできるかなーと、みんなでアイデアを出しあって、よし、まずはこれでやってみよう!と環境設定はひと段落。

その後、ご家族がでっかい段ボールを引きずってきたんですね。
後ろ向きにヨイショヨイショと引っ張ってきて、なんだろう〜?と思ったら

あし!
段ボールから飛び出てる、足!!!

あれね。
人間って予想してないことが起きると固まるよね。
落ち着いた体で「義足ですね〜」といえた自分えらい。

病院で作った義足は家ではつけられなくて、でも作ったから勿体無いし、どうしたらいいか分からず段ボールに入れて保管していたんだそう。
そりゃあ、病院でセラピスト2人がかりでつけていたなら、家族1人ではどうしようもないよね…。

活用したい気持ちはわかるけれど、家では難しいことをお伝えしました。
その時、ホッとした顔をしたご本人さん。
つけなさいって言われるかと思ったんだって。
重いし、大変だし、実は病院での義足の練習も嫌だったと。

そりゃ、本人がつけたいとか、歩きたいって思うなら方法を考えるけれど、それより大事なことがあるなら在宅ではそっちが優先。
これまで育ててきた植木に水をあげて、いつも遊びに来る雀に餌をあげたい。
そっちの方が大切だからね。

体を補うのが義肢。
でも、絶対補う必要があるわけではない。
だからこの装具は、病院で頑張った思い出としてお役目終了です。

段ボールの中の股義足さん、お疲れ様でした。

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