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溶ける週末#2(前半)

ある休日、ホームパーティーをした。

一回り以上歳上の友人(師匠とも言える)が、声をかけてくれて人が集まり、開催してくれた。

まずは、この友人(これからは師匠と呼びたい)について紹介したい。少し長くなるので、我慢して呼んでほしい。

最初の出会いは彼の個展だった。大学が同じで、社会人から仲良くなった友人のカネコくん(この人についても今度紹介したい)が一緒に行こうと誘ってくれた。
『家具屋で働いているのに、自分の絵を描いて店に飾っているんだ。』とよく話をしてくれて、僕もその人に興味があった。ただ、それまでの僕は家具や絵の類いには疎く、個展に行って知らないおじさんに会うのは緊張した。カネコくんから聞く師匠の話は、「ものすごくすごい人」というのが伝わっていた。色々な業界の知り合いが沢山いて、ファッションやデザインについて知識のある人と聞いていた。服や家具については興味が少しあったものの、そういった世界には関わりがなかったので「ものすごくすごい人」という印象だった。実際に会ってみたら、「ものすごくしゃべる人」だった。個展の作品全てに、ものすごくこだわりがあって、物語があった。それらの説明をずっとしていた師匠を見て、今後あまり関わらない人なんだろうと思った。そういう人が苦手というわけではなかったが、自分とは釣り合わないと思っていたのだ。そんなわけで、初めて出会った日は会話もあまりせずに終わった。

そして、またカネコくんが声をかけてくれて小田原に友人のサトウくんと師匠と4人でレンタカーを借りて出かけることになった。
この時もとても緊張したのを覚えている。行きの車と目的地で会話をした内容を覚えていない。昼食の時に、「話すのが下手」とも言われたくらいだ。結構と正直にものを言う人だったので、少し怖いくらいだった。
ただ、帰りの車ではよく話ができた。帰りは僕が運転をした。カネコくんと、サトウくんはぐっすりと後ろの席で寝ていた。師匠を助手席に乗せ、小田原から新横浜へと車を走らせていたが道は渋滞していた。これは気まずいなと思っていたが、師匠は自分のことを話してくれて、僕のこれまでについてを聞いてきた。師匠は学生の頃、ゲイバーの雇われ店長で色々なことを経験していた。それは作り話なのではないかと思うくらい驚く話や、自分では想像もできない悲しい話、昔の歌舞伎町と今の渋谷の話、自分の性の話(現在は自分のことをゲイ寄りのバイと言っている)をしてくれた。僕は両親のこと、奨学金を借りて大学へ通い、今の仕事をどうして選んだのか、今回の選挙はどうやって選んだのかなどを話した。もっと色々なことを話したと思うが、並べただけでも、もっと掘り下げて話せば一晩中語れるくらいたくさん話した。
そんな話をする中で、師匠は若くてこんなに話ができる人はあまり存在しないと自分に興味をもってくれた。そんなこんなで、少し距離を縮めることができ、自分でも関わることのできる人なんだと気づくことができた。

とても前置きが長くなったが、そんな風に仲良くなった師匠がホームパーティーを開催してくれたのだ。

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