2024年7月27日 土曜 スターウォーズ始め〈2024年7月マガジン〉
子が夏休みに突入したのをきっかけに、ディズニープラスに加入する。「スター・ウォーズ」(SW)シリーズを子が観るためである。きっかけは前記事に書いた。
SWは何作かビデオグラムを持ってはいるのだが、DVDやBDを再生するHDDレコーダーをテレビからプロジェクターへケーブルを接続し直すのが手間なので、AmazonFireスティックをプロジェクターのHDMI端子に挿すだけで再生できる手段を選んだ。
ep4を再生する。横で観ている私は展開早いなあ、と感じているが、子にとってはこれでも序盤はslowlyに感じるっぽい。普段見ているYouTubeやアニメシリーズと比べたらそれはそうだろう。以前に『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』('84)を観た際には「なんか実写のアクション映画って集中できない場面が多くて飽きてしまうな」と15分ほどで再生を止めたことがあった。しかし2023年作品『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』は序盤からラストまで画面に釘付けであった。どこに閾値があるのか不明である。だが、中盤からは熱中し始める。とにかくミレニアム・ファルコン号の格好良さに惹かれている。
オビワンとルークの依頼を受けたハンソロがチューイに言う、'Those guys must really be desperate. This could really save my neck. '。
ディズニープラスの吹替だと「じいさんたちのおかけで俺にも春が巡ってきたぜ」。ここ、むかしは「運が向いてきやがったぜ」じゃなかったかなあ。原語だと〈首がつながった〉だけど。
ラストのデススター攻略、「レッド10、スタンバイ」「レッド7、スタンバイ」……が、「10番準備よし」「7番準備よし」となぜかレッドが省略されて番号だけになっていてそこは萎えたなあ。ゴールド中隊とレッド中隊がいて、コールサインなのが燃えるとこじゃん?
などとめんどくさいおたく仕草をしている私の横で、1978年に映画館で私が手に汗握り、心を打ち抜かれたデススター攻防戦での、宇宙戦闘機Xウイングの格好良さに、子が画面から目を離さない。
ep4が終わり、興奮した子は、夜には続けてep5を観る。ep4日本公開の78年(本国は77年)からep5公開の80年までの二年間を8時間ほどでハイパードライブだ。私はあの世界でもっとも有名なセリフのひとつ「I am your father」を子の横で聴いた。
──小学生の頃に、友人の家に母と一緒に遊びに行った際に見かけた、その子の父親が組んで飾っていたMPC社製タイ・ファイターのプラモデルの姿をいまだに覚えている。ネットで検索してみると、初版は1977年。あの子の父親はどこで入手したのだろう。たぶん素組で、でも缶スプレーかなにかで塗装はしてあったように記憶している。それほど細かく色分けはしておらず、単色での全塗装で、でもホームセンターか何かで買ってきただろう土台の上に、宙に浮くようにしてあって、当時はそれほど一般的ではなかったきちんとしたアクリルボックスか透明プラ板でつくったボックスでディスプレイされていた。
だが、小学生だった私は、その子の父に「スターウォーズ好きなんですか!これどこで買ったんですか!どうやってこんなに格好良く飾ったんですか!」などと訊くことはできなかった。子供ながらに、それは近所の模型屋で売っているのとは違う輸入製品で、だから割合に高額で、ウチの懐事情(または趣味に遣う予算)では手が届かないモノだろうとフォースで感じとっていた。訊いてはいけないように感じていた。訊いたら、具体的な値段が出てきて、そこにいた母に迷惑をかけてしまうように思った。私は、そのタイファイターが家にある友人に、その場で遊んでいたオセロで「全部同じ色にして完勝」することができたのを周囲に自慢しながら、心の中では《なにを自慢しているのだろう》と恥じていた。ep4の思い出を語るときには、常にルークのテーマ(Binary Sunset)が心のなかで流れていて、私は二つの夕陽を眺めている。今と過去との。私が観た夕陽と、子が観る夕陽を。
〈了〉
〈2024年7月マガジン〉の記事です。購入したときの金額で〈2024年7月マガジン〉に収録の記事がぜんぶ読めます。無料公開範囲は予告なく変更します。
本記事の冒頭右上にある「P100」「¥100」ボタンを押すと記事単品購入になってしまうので、マガジンを選んだほうが読める文章数は多いです。いまのところ記事単品とマガジンは同じ値段なので(2024年9月12日現在/マガジン購入価格は予告なく変更します)。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?