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「甲子園って遠いの?」
まだ幼稚園に通っていた頃の息子からの言葉。
それから始めたキャッチボール。
小学生では、“上手くなりたい”純粋な気持ちがボールから感じた。
中学生になると、自我が芽生え、ボールに感情が入り始めた。
高校生では、そのボールが暴れ出した。古い部独特の体質に理不尽な環境は息子の心を蝕んだ。
それでも“遠い”甲子園へ夏と春に行くことが出来た。
しかし大学生になると、ボールを握らなくなり、会話がなくなった。
相談せずに就職先は自分で決めた。
社会人になった今、一人暮らしを始め、顔を合わせることもほとんどなくなった。
2ヶ月経ったある日、息子からメールが届いた。
「会社を辞めたい…」
今度は社会の理不尽や不平等に「自分の価値観が間違っていた」と。
「Starting over やり直せばいい」
スタートで躓いたが、息子なりに悩み、苦しみ、憑き物が落ちた。
無事に再就職が決まり、表情が和らかくなった。
「ありがとう」の言葉はボールではなく、メールで届いた。
今度は私が聞いてみようかな…
「新たな目標は、遠いかい?」
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