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横の動きと縦の動き(アドラー心理学入門講座 第8回目より)

04月11日(木)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「アドラー心理学入門講座」が始まりました。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面でどのように活用できるか実践報告を交えて考えていきます。

06月06日、第8回目のテーマは「アドラー心理学を実践する~アドラー・ミーティング」でした。昨日は、この講座で学んだアドラー・ミーティングのエキスを取り入れた利用者会議について書きました。今日は、この講義で気になったワード、「横の動きと縦の動き」について、実際の会議での例を取り上げて説明します。

横の動きと縦の動きは、アドラーの生徒でアメリカの精神科医リディア・ジッヒャーのアイディアです。横の動きとは共同体感覚に沿って、この状況で私は何ができるだろうかと、優越を追究することだといいます。それに対して縦の動きは、私はどのように見えるだろうかと、個人的な優越の追求をすることだといいます。この動きは会議の場においてみられるとのこと。

支援者は利用者の支援目標を達成するために支援者会議を開催します。利用者の希望を確認し、どのように支援をしていくかを検討します。この会議においても理想は横の動きです。しかし、縦の動きが優位に立ってしまうことがあります。

支援者会議において、利用者が不穏になって大泣きをしたり、自傷行為をしたりするようなマイナスの行動への対応について検討をすることがあります。そのときは、利用者がマイナス行動をする目的を探すことが大切です。たとえば利用者が置かれている状況の改善であったり、支援者に相手をして欲しいというメッセージだろうかと考えることです。これが横の動きです。しかし、経験豊富な支援者が、「私が対応しているときはそういう行動は見られません」、「利用者との関係ができていないからではないですか」と主張することがあり、その考えに引っ張られることがあります。これが縦の動きです。これでは誰かを責めるばかりで解決には至りません。

講義では、横の動きは成長と発達と他者との連帯であり、縦の動きは自己防衛の態度と成功への野心だと説明がありました。今の社会福祉では複数の専門機関による連携が求められています。横の動きでなければ良い支援が提供できないということになります。

縦の動きは専門職優位のパターナリズムに通じる流れなので注意しなければいけません。

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