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私の鉄則「相手に背中を見せない」

「相手に背中を見せない」これは、私の鉄則です。私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。この「相手に背中を見せない」という鉄則を、事業所の支援者に継承しています。

ある事件がきっかけです

今の私は、理事長です。また、現場の支援者でもあります。この私の鉄則、「相手に背中を見せない」は、私がこの仕事に就いてすぐに起きた事件を発端としています。

昨日noteに、「おまわりさん、ありがとう」という記事を書きました。

この記事の後半に、私が、初めてパトカーに乗った日のことを書きました。そのことが、私の鉄則「相手に背中を見せない」につながります。

無農薬野菜を作る事業所でのこと

私は、福祉系の専門学校を卒業して、地元の小さな福祉事業所に就職をしました。そこの主たる活動は、無農薬の野菜作りで、使用済みの畳をくずして、寝かせ、発酵させて、たい肥を作り、そのたい肥で野菜を作っていました。

そこで、養護学校を卒業したばかりの女性の利用者に出会いました。その方は、私に好意を寄せてくれていました。ある日、その方が通院で遅刻をしました。そのとき、その方は、事業所の玄関で、畑にいる私にむかってあいさつをしました。しかし、私は気づきませんでした。

その方が来所したとき、私は、ほかの利用者と一緒に畑で作業をしていました。そのため、その方の来所に気がつきませんでした。その方は、私に無視された、嫌われたと思い、そのまま事業所に入らず、行方不明になりました。

行方不明

午前中の休憩時間に、その方がまだ来ていないということに気がつきました。しかし、病院が遅れているのだろうと思い、私は、そのまま作業を続けました。その後、お昼ごはんの前になって、その方がまだ来所しないことに疑問を持ちました。そこで、やっと行方不明になっていることに気がつき、警察に捜索をお願いした次第です。

その方が保護されたのは、その日の深夜でした。少し離れた公園のトイレの中でうづくまっているところを保護されました。そのとき、その方が、私に迎えに来て欲しいと告げたことから、私に連絡があり、私はそこで、私に無視された絶望感から事業所に入れなくなり、姿を隠したことを知りました

「相手に背中を見せない」を鉄則にする

その方にかぎらず、当時の事業所では、支援者が遅れてきた人を把握することは無理でした。畑にいたら、そばに来てくれるか、大きな声で呼んでもらわない限り気づくことはできません。また、それを伝えても、すべての利用者がそのような行動がとれるわけではありません。とくに今回の方は、そこまでの積極性が持てず、絶望感から行方不明になりました。なにか解決策を講じなければいけませんでした。そのとき、私は「背中を見せない」ということを自分の鉄則にしました

「背中を見せない」とは、立ち位置に気を付けることと、意識をすることです。畑にいるとき、せめて玄関を向いて立っていれば利用者の来所に気づく可能性があがります。また、これから利用者が遅れてくる、必ず出迎えなくてはいけないと意識していることで、気づく可能性がもう一段階上がります。

このできごとをきっかけにして、「相手に背中を見せない」という鉄則が私に刻まれました。どこの現場でも、支援者は足りません。物理的に背中を見せてしまうことがあります。それでも「見ていなかった」と、言うことが許されないのが対人援助という仕事です。この鉄則は、この仕事を続ける以上、守り伝えていこうと思います。



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