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長い付き合いがプラスになることマイナスになること

障がいのある人を支援する事業所の経営をしています。今は、理事長業務がほとんどです。しかし、理事長になる前は長いこと支援者をしていました。そのため利用者の中には10年、20年、30年と長い間お付き合いをさせていただいている人がいます。ありがたいことです。

相談支援の実情

近年、福祉の制度がかわり「相談支援事業」というのが始まりました。障害福祉サービスを使うためには、利用者一人一人に相談支援専門員がつき、その人のサービス等支援計画を作らなければいけません。私たち事業者は、行政からそのように指導されています。その計画を作るためには、本人のことをよく知らなければいけません。

また、利用者のサービス等利用計画を作るときは、自分たちの組織だけで作ることなく、外部の機関が作ります。第三者の視点がだいじです。しかし、あとからかかわる外部の相談員はご本人のことを知りません。そこで、私に声がかかります。

「髙橋さんは、〇〇さんとと長い付き合いだから、〇〇さんのことをよく知ってますよねぇ。会議に来ていただけないでしょうかねぇ。」

そういう依頼があると、まずは本人に、私が同席していいかどうか聞いてくださいと答えます。

二種類の「よく知っている」

「〇〇さんのことをよく知っている」という場合、二種類の「よく知っている」があります。一つは、昔からその人のことを知っているという場合です。もう一つは、その人の今の状況を深くまで知っているという場合です。ただ、長い付き合いだけでは、見えてこなかったり、偏った見方になってしまう場合があります。

さらに、私が知りすぎていることから、利用者本人に同席を拒否されることがあります。利用者によっては、過去と未来をしっかり分けたいと思っているからです。

親代わりみたいな場合

ある利用者の場合です。その人は、私が本人と支援者が集まる会議に出席をすると露骨に嫌な顔をします。私は、その利用者のことを中学生ぐらいから知っています。個人的な知り合いで、お父さんが再婚されたときに新しいお母さんから相談を受けました。新しいお母さんは、障がいのあるお子さんにどう接していいかわからず悩んでいました。そこからのお付き合いになります。

私は、本人が中学生のころ一緒に遊んでいました。休みにドライブに行ったり、食事に行ったりしました。やがて養護学校を卒業して、私が勤める事業所の利用者になりました。当時の私は、それが必然的な流れだと思っていました。本人の癖や性格をよくわかっているのでそれが一番良い選択だと思っていました。ただし、そのときから支援者と利用者という関係になってしまいました。

家族の私に対する期待は変わりません。できれば親代わりになってくれたら嬉しいと思っています。しかし、利用者本人からしたら口うるさい親が一人増えたようなものです。本人は、年齢もあがり大人になりました。親から独立したと思っているかもしれません。それなのにいつまでも親代わりがまとわりついているということです。私は、うざい存在です。

情報を正しく管理する

付き合いが長いので、その利用者のエピソードをたくさんもっています。それはライフスタイルを予測するときに有効です。

しかし、長く付き合っていると、知らなくてもよいことまで知ってしまいます。そのため、ご本人の支援に直接関係がないと判断したことは話しません。しかし、他から情報が入り、聞いてないんですけど、と相談員に責められることがあります。情報の管理は難しいです。

会議への出席依頼があるたび、思い出す事例です。


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