社会情動スキルを身につける⑪/前向きなできごとからのレジリエンス
早稲田大学エクステンションセンターZoom講座「社会情動スキルを身につける(講師:向後千春)」で学んだことを、私の仕事に関連付けてnoteに書いています。講座は、02月06日と13日の2回でした。後半の講義では、Resilience「立ち直り乗り越える力」とOptimism「現実的で柔軟な楽観主義」の2つを学びました。
今日は、レジリエンス(立ち直り乗り越える力)について、私の仕事と関連付けてまとめる2回目です。
講義では、レジリエンスについて、逆境、対立、失敗さらには前向きなできごと(進歩や責任の増大)から立ち直る能力と、説明がありました。私は、説明を聞くまで、前向きなできごとからのレジリエンスは、意識したことがありませんでした。そこで、あらためてそれに関係する事例を探してみたところ、思い当たる事例がありましたので紹介をします。
グループホーム生活のわずらわしさ
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。私たちの事業所の一つにグループホームと言い、障がいのある人が支援者と一緒に共同生活をする事業所があります。従来の入所施設と比べて比較的自由度が高い居住空間です。しかし、集団生活にはかわりなく、いくつもの規制があります。
そこで入居されている人の中には、支援者の介入がわずらわしく思える人がいます。私たち支援者は、そのわずらわしさを糧にして次のステップにつなげます。
ある入居者から、こづかいを自由にもらいたいという相談がありました。こづかいのやりとりの流れは、行政からの指導があり、厳格におこなわれます。入居者は、こづかいや生活費が必要になると、支援者にそのむね申し出たうえで書類にサインをします。その書類をもとに管理者が代理でお金をおろします。いくつもの行程があります。それがわずらわしいから、自分で銀行からおろしたいという相談でした。
チャンスに変える
一人で行動ができる、お金を使えるということは、自由に飲み食いができ、健康に害が出るというリスクが高くなります。この入居者もそういうリスクがありました。しかし、支援者が、ストレートに飲み食いの情報を得ようとすると拒否されてしまいます。関係も悪化します。
そこで、あらたに自分専用の銀行口座を開設することを提案しました。支援者は、その口座に、元口座から定期的にこづかいや生活費を移します。そうすることで、入居者本人はお金が欲しいときに申し出ることなくお金をおろせます。ただし、私たち支援者は、いくらお金を移せばいいかわかりません。そこで、入居者本人に新しい銀行口座開設の提案をした際、合わせてお金の使途を教えてもらうことをお願いしました。
入居者本人には、キャッシュカードを使うときの注意(暗証番号管理、ATMの並び方など)、紛失しないよう自己管理することをお伝えしたほか、簡単な家計簿のようなものを提示してそれにお金の使途を書くことや、レシートを貼り付けることを提案しました。
入居者本人にとって、お金を支援者が用意するということは、わずらわしい反面、確実に手元に届きます。しかし、これからは自分で管理する、自由にお金をおろせるという進歩と責任が加わりました。
また、これにより支援者は、入居者本人にネガティブな感情をいだかせることなく、昼間の飲み食いの状況を把握し、健康管理に役立てられるようになりました。
こういう事例をたくさん重ねていくことで、支援者の意識が変わっていくように思います。私も思い出すことができて良かったです。
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