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対人援助の学習とパセージの共通点

社会福祉法人を経営しています。また、現役の大学生もしています。50代半ばで、社会福祉の学び直しを始めました。

対人援助の講義にて…

認知症のグループホームの映像を観ました。それは、食事時の映像でした。

ある支援者は、入居者の前に食事が運ばれると、キッチンバサミでおかずをチョキチョキ切り始めました。切り終わると「○○さんはい、どうぞ」と、声をかけました。

またある支援者は、入居者の食事介助をしながら、ななめ横に座っている入居者に言いました。
「○○さん、あわてないの、まだ口の中に残ってるでしょう」
またすぐに言いました。
「○○さん、ゆっくり」
これを何度も繰り返していました。また、食堂に集まっている人たちは、おしゃべりをしながら食事をしていません。食堂には支援者の注意する声だけが響いていました。

のどに食物を詰まらせたら大変なことになります。支援者は、入居者の安全を第一に考えてこのような行動や声かけをしているのだと思います。

以前は、管理的な介助があたりまえでした。しかし、今、私たち専門職に求められるのは、相手を尊重したした支援です。

実際の支援場面で…

私の事業所でのことです。以前、利用者の食事中に、支援者が部屋の角に立って見ていることがありました。そこから支援者は、「○○さん、反対の手、出しましょう」などと声をかけていました。自分が食べているときにそばに立たれて、上から何か言われるのは、気持ちが良いものではありません。そのあと、「一緒に食事をしながらできる支援」について話し合いをしました。

相手を尊重した支援とは

今回は、映像を観ながら、相手を尊重した支援について学びました。私は、この学びの中で、アドラー心理学を基礎とする子育てにおける親の育成プログラムパセージ(野田俊作)の心理面の目標を思い出しました。

パセージにおいては、子育てにおける心理面の目標として、次の2点をあげています。

1)私は能力がある
2)人々は私の仲間だ

この目標は、子育てだけではなく、あらゆる対人援助に当てはまります。対人援助においては、相手を尊重した支援が鉄則だと学びます。しかし、具体的にどうしたら相手は自分が尊重されたと思うのか、その点はあいまいです。そこにパセージの子育ての目標を当てはめるとしっくりきます。

私たちが支援をしたとき、相手がその支援を受けて、自分には能力があると思えたとき、また支援者は仲間だと思えたとき、その支援は相手を尊重した支援だと理解します。この心理面の目標は自分の支援を測るものさしのようなものです。

食事の介助も、このものさしに当てはめて考えてみたいと思います。

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