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「ありがとう」の習慣

コミュニケーションに関する研修で、あなたが一番多く口にする言葉はどんな種類の言葉ですかと、問われたことがあります。「あいさつ」、「お願い」、「命令」、人によって仕事によっていろいろあるようです。私は「ありがとう」という言葉を一番にしたいと思っています。

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。主な仕事は、理事長職です。一日のほとんどは、事務仕事をしています。しかし、できるだけ利用者の前に立ち「ありがとう」と言える場面を増やすようにしています。「ありがとう」をいっぱい言おう、そう決心するだけでその機会はいっぱい見つかります。

朝の「ありがとう」

朝、出勤をすると私よりも早く出勤している支援者がいます。その支援者には「おはようございます、早くからありがとう」と、あいさつをします。やがて利用者がやって来ます。利用者には「今日も来てくれてありがとう」、下駄箱に靴をしまうときに他の人の靴を寄せてくれたら「そろえてくれてありがとう」、玄関で手指消毒をしてくれたら「毎日、消毒ありがとう」と言います。朝から「ありがとう」があふれています。

日中の「ありがとう」

利用者が受注作業をしている横を通るときは「今日もたくさんありがとう」、ポスティングから戻ってくれば「暑い中ありがとう」と言います。

休み時間にテレビの話をしてくれれば「面白い話をありがとう」、お母さんが腰が痛いと言っていると話してくれたら「お母さんの話をありがとう」とお礼を言います。また、そのあとで「また話をしてくださいね」とお願いをします。

利用者の一人に、給食メニューの確認が好きな人がいます。一日に何度もメニュー表を持って来て、明日のメニューを指さし読み上げを求めます。私は、その都度、明日のメニューを読み上げます。この利用者の行動を「こだわり」と言ってしまうとそれまでです。しかし、物忘れのひどい私に何度も明日のメニューを教えていると考えると対応が変わります。そんなときは「3回もありがとう、これで忘れないね」と感謝します。

夕方の「ありがとう」

夕方、利用が帰るときは玄関で「今日も一日ありがとう」と、感謝の言葉を伝えます。また「明日も来てくれる?」と聞いて、利用者がうなづけば「ありがとう」と喜びます。「ありがとう」を言う機会はたくさんあります。

「ありがとう」の習慣

障がいのある人たちが、私たちの事業所を使ってくれる、来てくれる、それだけで「ありがとう」です。数ある事業所の中から選んでくれました。利用者の皆さんは、支援される人でなく感謝される対象です。

さらに支援者にもわかって欲しいことがあります。利用者が受注作業をしているとき「しっかりやってる?」と声をかけるのは失礼です。たとえ昨日より数が少なくても、他の人より数が少なくても、まず「参加してくれてありがとう」という気持ちを持って欲しいです。

私たち支援者は、安全に家に帰って欲しいと思っています。そのため利用者が帰るとき、つい余計なことを言ってしまいます。「さようなら、まっすぐ帰るんだよ」

余計な一言を言う代わりに、「ありがとう」を言う習慣を身につけていたいと思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございます。

連続投稿1000日まで、あと33日

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