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主賓を間違えてはいけません

障がいのある方の支援をしています。もう30年以上も経ってしまいました。何年続けていても、ついおろそかになってしまうことがあります。大事なことを忘れないためにここに書き留めます。

障害福祉サービスにおいて利用者主体は大原則です。これは何度もnoteで書いてきました。

障害福祉サービスの利用は2003年から契約になりました。それ以前は、措置という行政処分でした。契約は利用者と事業所が直接契約を結びます。障害福祉サービスにおいては、障害のある人、ご本人が契約者であり、利用者です。

私は、私の事業所の利用者が他の福祉サービスを使いたいと言った場合、その人を連れて他の事業所の見学に行きます。初めての事業所の場合、先方の担当者は名刺を出してあいさつをしてくれます。そのとき、ほとんどの人は、先に私に名刺をくれます。しかし主賓は私ではありません。

私の事業所にもたくさんの人が見学に来てくれます。親子で見学に来て下さる人もたくさんいます。そのときは、まずご本人にあいさつをします。名刺を渡すときも、事業所のパンフレットを渡すときもご本人が先です。ご本人に渡すと渡された本人は困って、付き添いのご家族に渡すことがほとんどです。しかし、まずはご本人に渡します。

障害のある人が生活をするグループホームには、定期的に福祉事務所のケースワーカーが自分の担当利用者に会いに来ます。そのとき、事前に電話がかかってきます。
「×月×日、○○さんに会いに伺いたいのですがご都合いかがでしょうか?」

担当ケースワーカーの目的は○○さんに会うことです。しかし、都合を聞くのはいつも支援者の都合だけです。ご本人の都合を聞かれたことは一度もありません。グループホームを利用されている人にもいろいろ都合があります。日中活動から帰ったらまずお風呂に入って、それからご飯で、テレビで…予定を口に出すことはなくても、自分で決めた予定があるはずです。

私が電話に出たときは、こう言って電話を切ります。
「ご本人の都合を聞いてからあらためて連絡をします」

誰もが「人権」を一番に考えて支援をしています。しかし、あたりまえになっていて見落としていることはたくさんあります。きっと私も30年の経験の中で見落としていることがたくさんあるはずです。今日は、そんなことを考えながら相談演習のスクーリングに行ってきました。

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