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ご家族の注文と支援内容が食い違ったら(我が家でスーパービジョン④)

対人援助の仕事で悩ましいことは、ご本人の希望とご家族の希望がずれているときです。私たち支援者は、ご本人の希望に基づいて支援をします。しかし、その支援についてご家族から反対の注文が出ることがあります。

我が家のスーパービジョン

最近、我が家では、夜な夜なスーパービジョンが展開されます。福祉業種におけるスーパービジョンとは対人援助におけるスキル向上を目的とした教育システムです。

長女と次女が、家から歩いて5分のところにある高齢者デイサービスでアルバイトをしています。二人とも仕事に慣れた半面、いろいろな疑問や失敗もあり、その思いを私にぶつけてくれます。子どもたちがぶつけてくれる悩みは、いつも心に刺さります

子どもたちは、デイサービスで提供するプログラムや支援内容がご家族の希望と合わず困っています。その中でも、今の悩みは、投薬に関する支援です。

投薬に関する支援の食い違い

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。今は、理事長です。以前は、現場の支援者でした。また、今でもご家族のお話を聴く機会がたくさんあります。私がかかわった利用者の中でも投薬に関することでご家族と意見が合わないことがありました。

たとえば、利用者が不穏になっているときです。そのとき、薬だけに頼ることは間違っています。環境の改善が必要です。ただし、環境の改善にも限界があります。医療と連携を組み、薬を上手に使いながら環境の改善をします。しかし、ご家族からは、薬は副作用が怖いから絶対にダメ、と言われてしまいました。

辛いのは誰? 誰のための支援?

辛いのは、本人です。大きな声を出しています。それによって周りの利用者も不穏になります。また、大きな声を出している利用者を非難することもあります。そうすると負の連鎖で問題が大きくなります。

ご家族には、ていねいに根気よく説明して協力を得ます。ただし、伝えることは、ご本人が辛いということだけです。より正確に伝えようとして、周りの人も…と言ってしまうと、話がこじれます。気をつけなければいけません。

ご家族も辛い

また、反対に、本人の状態を悪く言うことで、薬を増やしてもらうご家族もいます。薬の過剰投与です。支援者に話を聞くと、事業所での活動中は落ち着いてすごしていると言います。ご家族に話を聞くと、家に帰ってからの状態が悪いと言います。

このとき、ご家族を安心させようという配慮から、事業所では落ち着いていますということを強調すると、ご家族は、家族の対応が悪いと思うことがあります。まずは、ご家族も大変な思いをしているというところに寄り添います

ご家族に話をするのは誰?

ご家族にネガティブな話をするときは、直接、現場の支援者が話をしない方がいい場合があります。お互いが主張をゆずれなくなり、ぶつかってしまいます。また、ご家族は、言いたいことを言えないことがあります。支援者は、自分たちは正しいことをしていると思っているので、ご家族とのやり取りでムキになることがあります。

ご家族の話を聴く場合は、誰が聴く場合でも、どんな状況においても、まずはご家族の辛さを聴き取ります。そのあとで、支援者が話をすることが鉄則です。


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