"生きることの科学"としてのアドラー心理学(アドラー心理学入門講座 第2回目より)
04月11日(木)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「アドラー心理学入門講座」が始まりました。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面でどのように活用できるか実践報告を交えて考えていきます。
第2回目のテーマは「"生きることの科学"としてのアドラー心理学」でした。アドラー心理学が現代の人々にどのように必要とされているのか、それを科学的な視点からお話がありました。
まず科学であることの要件として以下の3点があげられました。
1)ものごとを簡潔に説明できること
2)これから起こりうることの予測と制御ができること
3)全体として体系的であること
それは、アドラー心理学の基本前提のひとつである、目的論からうかがえます。アドラー心理学は原因論ではなく目的論を採用しています。
障がいのある方の支援場面においても目的論は大切です。障がいのある方の特異な行動を原因論で説明すると行きつくところは「障害」が理由になってしまいます。その結果、医療への依存度が高くなることもあります。しかし、その特異な行動も何か目的を果たすためのメッセージだととらえると解決の糸口が見えてきます。
また基本前提のひとつ全体論では、個人は感情や無意識、心といったものに分解できない存在だとしています。全体論を採用すると利用者さんの障害というものにだけ注目をして対処することもなくなります。
さらに現代の人々がアドラー心理学にひかれる点として、以下のように説明がありました。
「自分の人生を捉え直して、新しい人生をもう一度スタートさせてみよう」という勇気。
これはアドラー心理学の基本前提のひとつ、個人の主体性ということになります。この個人の主体性という考え方を使うと、障がいのある方への支援の基本となる、意思決定支援についても説明をすることができます。
今後、基本前提をひとつひとつ学びながら、その事例を紹介していきます。
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