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将来の住まいを支援する

年度末ということで、会議では一年をふりかえる議題が多くあります。来週、出席を依頼されている会議のテーマに「この一年、自分の支援をふりかえって有効だった支援、有効ではなかった支援」というのがあります。そこで私も利用者へのかかわり方をふりかえってみました。

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。主たる業務は理事長業務です。ほかにも相談業務を中心に、直接支援にもかかわります。

将来の住まいについての相談

利用者やその家族もしくは支援者から、将来の住まいについての相談があります。親亡きあと、どうやって暮らしたらいいだろうか、グループホームの空きはないだろうか、そんな相談です。

利用者や家族からの主な相談は、グループホームに入りたいけど空きはないだろうか、という相談です。支援者からの主な相談は、担当の利用者の将来が不安だからどうにかならないか、という相談です。私も、将来の住まいについて不安になる利用者がたくさんいます。しかし、どうにもできずにいます。また、ときどき暴走をしてしまいます。私の有効ではなかった支援はその暴走です。

グループホームの入居を勧める

グループホームは、なかなか空きがありません。空きがあっても高倍率です。以前、私の法人のグループホームに空きができたときは、一人の募集枠に10名の申し込みがありました。また、グループホーム利用は、空きの問題だけでなく立地が問題になります。グループホームから日中活動に行かれるかどうかの問題です。

昨年、あるグループホームに空きが出ました。私の知っている利用者の中に、そこのグループホームの立地条件がぴったりの利用者がいました。またその利用者は、あと数年後には将来の住まいのことが課題になるということが予測されている人でした。そこで私は、そのグループホームに申し込んで欲しいと強く願っていました。家族に何度か交渉をしました。しかし、だめでした。私は、グループホームの話をすすめている内に現実を見失っていました。

家族それぞれの事情

利用者の中には、高齢の両親と3人暮らしという利用者が何人もいます。今は、家族の送迎で日中活動に来ています。また、家のことも家族中心にまわっています。しかし、あと数年するとそれができなくなる可能性があります。それが心配です。だからといって、支援者がそうなる前から決めつけてはいけません。しかし、決めつけがちです。「そうなったら困るでしょう、今がいいチャンスだよ」そう言って、本人や家族を追い詰めています。

利用者も家族も、今、困っているわけではありません。支援者がそれを、困っている人予備軍に決めつけてはいけません。

また、利用者も家族の中でしっかりとした役割を持っています。家事の担い手だったりします。それがグループホームに入ることによって、担い手からサービス受給者になってしまいます

一緒に考える、予測する

利用者との付き合いが長くなってくると、いろいろなことが不安になります。私は「将来を考えたら今の内にグループホームに入っておいた方がいいに決まっている」そんな気持ちでごり押しをしてしまいました。

困っているのは、利用者や家族ではなく将来の私でした。私は、それを見越して早急になっていました。まずは、利用者や家族に将来に起こりうる可能性を伝え、一緒に考える、そこからでした。

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