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注意しない工夫をしよう(缶つぶし作業でそれを見つける)

私が経営する事業所の一つに生活介護事業所というのがあります。そこでは、障がいがあり就労より自主的な創作活動や生活支援を希望する人たちが活動をしています。今、この生活介護事業所は全国に7200ヶ所以上あり、それぞれ工夫を凝らした活動を展開しています。

以前、私が現場にいた頃、積極的に取り組んでいた活動は缶つぶし作業でした。今から20年ぐらい前の話です。

缶つぶし作業は、缶を回収するところから始まります。缶回収の場所を設けて回収をしたり、直接、近隣を訪問して缶を集めました。また回収した缶は、近所の公営グラウンドで走り回りながら足でつぶしました。この缶つぶし作業は、いいとこだらけの作業でした。

いいところその1
当時、環境保全に関する活動には奨励金が出ました。これがかなり良い金額で、この奨励金で利用者の皆さんに工賃を支払うことができました。

いいところその2
地域とつながりを持つことが容易でした。定期的に近隣のお宅を回って、缶回収をしましたことが地域の方々との結びつきの強化につながりました。さらに、缶つぶし大会というイベントを企画して、小学校との交流にも発展しました。

いいところその3
まだ、私も体力を持て余していました。青空のもと、利用者と一緒に走り回りながら汗をかくのは心地よい作業でした。

缶つぶし作業のかたむき
しかし、21世紀に入ると缶つぶし作業にかげりが出始めました。まず、徐々に減らされていた奨励金が無くなりました。さらに「猛暑日」が増え、外で活動するのが危険になりました。それに加えて、私は体力が落ち、外で走り回ることが苦になりました。その結果、惜しまれつつ缶つぶし作業に別れを告げました。

今、私の法人の支援姿勢に「注意しない工夫をしよう」というのがあります。この缶つぶし作業は、注意しない工夫が大切だということを気づかせてくれた作業です。

障がいのある人の中には、突然、大きな声を出したり、飛び跳ねたりする人がいます。狭い作業室でそのような行動に出ると支援者は、その行動を止めます。利用者からすれば止められたことが納得できず、さらに行動がエスカレートします。すると支援者は力で抑えます。これが虐待の始まりです。

もし、活動が室内ではなく、大空の下だったら、大きな声を出してもさほど迷惑になりません。急に飛び跳ねても他の人にぶつかることはありません。外にいれば注意する回数は減り、利用者も不快な思いをしなくてすみます。この点でもこの缶つぶし作業は効果的でした。

写真は20年前の様子です。

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明日は、この続きで、缶つぶしを始めたきっかけを書きます。それは日常のちょっとしたできごとからでした。




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