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「なんで母ちゃん呼ぶんだよ」(個人面談での大失敗)

「なんで母ちゃん呼ぶんだよ」
以前、個人面談が終わった直後に、利用者から怒られました。

私は障がいのある人たちが利用する事業所の経営をしています。今は、理事長です。しかし、始まりは、現場の支援者です。また、今でも相談や、面談等の業務を担当することがあります。冒頭の言葉は、数年前、支援計画の承認のための面談直後に利用者から言われた言葉です。

個人面談と聞くとネガティブになる

今は、最短でも半年に一度、支援計画の見直しをして、ご本人から承認を得ることが義務付けられています。そのため、定期的に個人面談をします。個人面談が日常化されました。しかし、一般的に個人面談に対するイメージはネガティブです

その理由は、面談を仕切る私たち支援者にあります。支援者は、個人面談で、利用者に対して、「できた」「できなかった」の評価をすることがあります。利用者にとっては、うれしい話ではありません。

しかし、支援計画に関する個人面談で、評価されなければいけないのは支援者です

学習者検証の原則

今の福祉サービスには、マネジメントの考え方が導入されています。支援計画は、利用者が望む生活を実現するためのプランです。支援をしたら、そのプランが適切だったか、効果的だったかどうか、その評価をします。その評価ができるのは、利用者です。しかし、支援者同士で「よくがんばったね」と評価しあっていることがあります。

向後千春先生からインストラクショナルデザインを学んだとき、「学習者検証の原則」というのを知りました。、学習者検証の原則では、教え方が効果的であったかどうかは、学習者が実際に成果を上げたかどうかだけによって検証されるものと言います。教える側は「教えたつもり」で満足し、教える側の「熱意」や「努力」で評価していると言われ、私は、頭を打ちぬかれた気がしました。それまで、私は、支援したのではく、支援したつもりになっていました

支援計画の承認をいただく個人面談では、利用者の望みがかなえられなかったとき、本人の努力が足りなかったということになりがちです。支援者は、利用者のできないところを指摘したあと、「じゃ、これからもがんばってください」と言って、個人面談を終わりにします。これは間違いです。

「なんで母ちゃん呼ぶんだよ」

このときの個人面談では、支援者の報告を聞いて、同席していたご家族が、「あんた、もっとしっかりしなきゃだめじゃない」と怒り始め、お母様の小言が延々と続きました。その結果、面談の最中に、ご本人が「うるせーなぁ」と怒って部屋を出て行ってしまいました。大失敗をしてしまいました。

年度替わりに支援計画を更新する利用者がたくさんいます。そろそろ個人面談が増えてきます。現場の支援者たちにこのことを話ました。

支援計画承認の個人面談では、承認をいただくのはご本人です。しかし、暗黙の了解でご家族を呼んでしまいます。絶対にご家族が立ち会わなければいけない決まりはありません。ただし、利用者によっては、ご家族にも話を聞いていただかなければいけない人がいます。個人面談にご家族が同席する場合は、必ず、ご本人の了承を得る、そういう配慮が必要です。




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