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利用者の送迎は運転のプロに任せたい

街中で頻繁に福祉事業所の送迎車を見かけます。またその多くは同じようなデザインです。今、福祉サービスにおいて、自宅から事業所までの送迎はあたりまえになりつつあります。しかし、課題もあります。

まず、同じデザインの車を良く見かける理由は、あの車が寄付車両だからです。福祉事業所では、企業や財団から車両寄付をいただきます。ゆえに同じデザインの車両になります。

東日本大震災の後、ガソリンが不足しました。福祉事業者は、サービスを提供するために送迎車のガソリンが必要です。そのためガソリンスタンドにいろいろな事業所の送迎車が並びました。しかし同じデザインの車です。一般の人が見ると、全部同じ事業所に見えます。ひとつの事業所がガソリンを買い占めているとクレームが出たりしました。

さて、問題のひとつは運転免許にあります。福祉サービスにおいては、運転業務が主たる業務でなければ普通免許で送迎車の運転ができてしまいます。また、特別な講習も義務付けられていません。障害サービス分野においては、需要が多すぎて支援者がボランタリー的な意識で対応したり、ボランティアさんにお願いをしなければ追いつかないのが現状です。

支援者が運転するということは、直接支援の前後に運転をすることになります。とてもハードです。運転は、疲れや気の緩みが大きな事故につながります。また、ボランティアさんも高齢の方が多いので心配です。

私が経営する日中活動事業所でも、送迎を必要としている利用者がたくさんいます。しかし、十分に応えられずにいます。支援者が送迎に出てしまうと現場に残る人がいなくなってしまいます。また、支援者のリスクが大きいので制限もしています。

私は、送迎車の運転は二種免許を持ったその道のプロに任せる方が良いと思っています。私の法人では数年前から、送迎の一部を代行運転業者にお願いしています。本当はすべての送迎を代行運転業者にお願いしたいと思っています。しかし、請け負ってくれる業者がありません。毎日、同じ時間に確実に人を手配することは難しいと言われます。

先日参加した勉強会では、タクシー業界と連携していく試みが始まったと知りました。私も、タクシー業界との連携は以前から視野に入れていました。しかし、一事業所がお願いしても実現しません。送迎は、私たちにとっては大きな需要です。しかし、企業を動かすまでの需要にはつながりません。同じような需要を抱える者同士が協力して大きな需要にして、企業や社会を動かせないだろうか、そんなことを考えています。

しかし、もう一つ課題があります。利用者は、ドア・ツー・ドアの送迎が嬉しいのでしょうか。毎日、同じ時間に車が迎えに来て、活動が終わると車で家まで送られてしまいます。どこにも寄り道ができません。このことも考えていかなければいけません。

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