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リフレーミングを上手に使う /(アドラー心理学実践講座 第4回目より) ①

10月04日(木)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「アドラー心理学実践講座」が始まりました。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面でどのように活用できるか実践報告を交えて考えていきます。

10月24日、第4回目のテーマは「案内図としてのライフスタイル(3)」でした。今回はワークが2つあり、新しい発見がありました。まずは、その学びからリフレーミングについて書きます。

障がいのある人への支援、その専門職研修ではリフレーミングの演習があります。研修のテキストには、リフレーミングとはネガティブな視点のフレームをポジティブな視点のフレームに切り替えるときに使う技術、と書かれています。
(「神奈川県サービス管理責任者補足研修テキスト」より)

今回の講義では、向後先生からは厳しい言葉がありました。向後先生は、リフレーミングはただ言葉を言い換えるだけではなく、状況設定を変えなければ意味がないと言います。

実際の支援場面を振り返ると、言葉を言い換えているだけのことがあります。

自閉的な障害のある人の中には、扉が開いていると閉めないと落ち着かない人がいます。扉が開いていると突進していき、思い切り扉を閉めます。周囲の人はその突発的な行動に驚き、怒りを表します。
「もっと静かに閉めなよ」
「もう、危ないなぁ」
そんな言葉があびせられます。

そのとき支援者は、
「よく気がつくなぁ」
「開けっ放しだと冷房がもったいないからね、ありがとう」
そんな応対をします。

支援者の意図は、扉を閉めた利用者に対する周囲の批判を和らげようとするものです。そこで支援者が注意をしてしまうと、その利用者は注意される人になってしまうからです。しかし、これで問題が解決しているわけではありません。これが日に何回も繰り返されると、扉を閉めたい利用者も周囲の利用者もストレスを抱えます。

この場合のリフレーミングの効果は、支援者がネガティブ感情を持たないようにするということです。ネガティブ感情を持つと利用者の目的がつかめなくなります。

成功した例を書きます。

給食でカレーなどを食べ終えたあとのスプーンを、配膳されたときの位置に戻したいというこだわりがある利用者がいます。他の利用者のお皿の中にスプーンが入っているとなおしに行きます。しかし、なおされた利用者は急に手を出されて怒ります。そんなとき、支援者は「○○さんは几帳面だね」と作り笑いをしていました。その状況を言い換えただけでは問題は解決しません。そこで、食べ終わった人から随時、食器だけは下膳するように変更しました。単純なことです。これで解決しました。

私たちは利用者の行動の意図、文脈を把握することが必要です。言葉の言い換えだけでなく、状況をリフレーミングするということを再認識することできました。


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