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以前の私は”指導員”でした

困ったことがあると、アドラー心理学を基礎とする子育てにおける親の育成プログラムパッセージのテキストを開きます。

先日、利用者同士のトラブルがありました。利用者の中には、他の利用者に対して小言を言ってしまう人がいます。
「ちょっとそれ違うじゃない」
「早くしなさいよ」
「ほらっ、外に行くわよ」
そのうちに、言葉だけでなく他の利用者の作業に手を出し始めます。

今回は、小言を言われた利用者が怒って、机か椅子を蹴飛ばしてしまいました。蹴とばしたあと、反対に小言を言った利用者に対して大きな声で注意を始めました。目の前にあった物を蹴飛ばしたりして怒るのは、テレビドラマなどの影響かもしれません。それがかっこいい、と思ってしまうことがあります。

このことがあったとき、作業室は一瞬にして、硬直した雰囲気に包まれました。また他の利用者は大きな声を出したりしていた二人の利用者を凝視していました。私は、すぐに他の利用者に別の作業室に行っていただくよう誘導をしました。

利用者が他の利用者を注意している場面を見ると、以前、ある利用者のご家族に言われた言葉を思い出します。そのご家族が言うには、家で利用者が私のしゃべり方そっくりだと言うのです。えらそうに親に何かを言っているの場面が想像でき、反省しました。

当時の私は指導員でした。

パセージのテキストには、モデルを見て学ぶという項目があります。そこには、子どもは常に親を見て、親のふるまいをまねすると書いてあります。また、日ごろから親が大きな声を出したり、暴力をふるったりしていると、そうすれば相手に言うことをきかせることができるんだということを学んでしまうとも書いてあります。

支援者が、あたりまえだ、それは悪いことだから正さなければいけないと思って強く出た行動も、行為だけを見れば、強硬な態度で言うことを聞かせているように見えてしまいます。今の利用者たちは、そういう場面をいっぱい目にして今に至ってしまったのでしょう。

これからは、ヨコの関係のコミュニケーション場面をたくさん作り、それを利用者にマネしていただかなければいけません。

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