見出し画像

福祉事業所の防災訓練①(消火器の使い方)

noteで「#みんなの防災ガイド」というお題の募集が始まりました。そこには、実践している対策や、準備している防災グッズなど、防災についての役立つ情報をぜひ投稿くださいと書いてあります。今日と明日は、私の社会福祉法人の防災訓練の取り組みやそこで気がついたことを記事にします。

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の事業所では、毎月、防災訓練を実施しています。しかし、本当にこれで大丈夫なのかといつも不安です。不安に思ったことをひとつづつ解消しながら実践を重ねています。

年2回の消火器の使い方訓練

防災訓練の中には、法令で義務付けられている訓練があります。その一つが年に2回の消火器の使い方の練習です。消火器の使い方は、市民防災センターに行って体験をしたり、消防署の方に来ていただいて消火器の使い方を習っています。その訓練で気がついて改善したことです。

私の法人の特徴で、さまざまな活動を利用者と支援者が一緒に共有しようという意識があります。その結果、消火器の使い方を学ぶこともイベントになっていました。

市民防災センターでの体験(反省)

法人の事業所を使っている人たちは、主に知的障害がある人たちです。すべての利用者が、消火器の目的を理解しているわけではありません。また、目標物に向かって液体を放出することができません。そこで支援者は、横から利用者の手を持って消火器の使い方を練習をしていました。

私が現場にいたときのことです。市民防災センターでは、火が燃えている映像に向かって消火器のノズルを向けます。日常とは違うその状況に不安を感じて逃げ出す利用者がいました。そんなとき、当時の私は、利用者の体をつかんで「ほら、火、燃えているでしょう、危ないから火を消して」などと言い、無理やり消火活動の練習をさせていました。利用者は、終わった瞬間に走って逃げて行きました。私はその後姿に向かって「良かったね、火、消えたね」と一人、悦に入っていました。

消防士との訓練(気づき)

その後、地元の消防署の協力で消火器の使い方を練習したときのことです。消防士から利用者の皆さんの役割は逃げることです。そこを徹底してください、と指導がありました。

あの頃の私の防災訓練は、目的を間違えていました。消火器の使い方を学ぶのは、火を消すため、火災を大きくしないためです。実際の火災現場では、利用者に「じゃ、一緒に火を消すよー」ということはやりません。本来の目的をまったく考えていませんでした。

消火器の使い方を学んでいると、利用者の中には「私、やります!」と積極的に申し出てくれる人がいます。今は、勇気ある気持ちだけを頂戴して逃げることを優先してもらっています。支援者は、火を消す、誘導する、通報するそういう練習をします。

写真は、今年の冬、冷たい雨の日の訓練です。

画像1

冷静に考えれば、あたりまえのことができていない、そんなことがたくさんありました。

この記事が参加している募集

みんなの防災ガイド

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?