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No.14 時間の価値について考える

1日0.2%の成長で起こせ!
静かなる自分革命


No.11 ボランティア行政って、これからどうなっていくのだろう?
No.12 ボランティア行政、そのまま元に戻すのもありだけど、何か変化に挑戦することはできないかな。
No.13 自治体の「情報技術」を考える。


と、3回にわたって、
ボランティア行政がどうなる?どうする?
という視点から、
これから自治体として、
何かしら変化に挑戦することは
できないかな、
という話をしてきました。


今回は、「時間の価値」について
考えてみたいと思います。


ボランティアとか、
地域活動とかのことを話題にするときに、
ひんぱんに出てくる「担い手不足」という
言葉があります。

もうずいぶんと長いこと
「担い手不足」が言われているけれど、
なかなか有効な手が打てないまま、
いまに至っています。

この問題の根っこのところに、
人の「時間の価値」に対する変化
あるのではないかな、
そこに自治体が上手く対応できていないことが
あるのではないかな。

私はそう思っています。

少しこのことを考えていきましょう。


<オフタイム1時間 9,632円>

まずは、いろいろ書く前に、こちらを紹介したいと思います。

SEIKOさんが出している
「セイコー時間白書2019」です。


SEIKOさんが、2017年から始めたもので、
全国の10代〜60代の男女1,200人に調査した
結果がまとめられています。

この中で、私が目に止めたのは、
次の2項目でした。

①自分のオフタイム1時間の価格
  2017年 6,289円
  2018年 7,226円
  2019年 9,632円

②時間に追われていると感じている
  2017年 69.1%
  2018年 64.3%
  2019年 67.8%


オフタイム1時間 9,632円

みなさんの感覚はいかがでしょうか。


これを見て、私は
「あぁ、ずいぶん高いんだな」と
正直思いました。


だからボランティア活動に
1時間1万円出せ!
なんていう短絡的な話では
もちろんないのですが、

特に、
働く世代に行政活動へ関わってもらおうと
思ったときに、

この調査結果は、
今の自治体が捉えている
一人ひとりの時間の価値に対する感覚が
大きくずれているのかもしれないぞって、
そんなことに気づかせてくれる内容だと
思います。


<ボランティアの仕組みができたころ>


ここで、
今あるボランティア活動って
いつごろ出来上がってきたのかなと、
そこに視点を移したいと思います。

災害ボランティアなど
比較的新しいものもありますが、

長く続いている地域活動の
ボランティアは、
高度経済成長期のはじめのころに
出来てきたのではないでしょうか。

その頃も人々の生活は忙しかったとは
思うのですが、
ちょっと単純化しながら想像すると、
こんなことが言えるのではないかなと
思っています。

・まだまだ生活が不便で、地域に関わらないと生活に必要な情報が手に入らなかったし、協力関係も築けない時代だった。

・一人が仕事、一人が家庭にいる世帯が多かったが、それでも給料が上がっていって生活が豊かになっていく実感が持てたから、今のままでいい、このまま頑張ろうというマインドがあった。

まぁ、ほんとに単純化した表現をしていますが、
それでも、
今とはずいぶん違うな、
ということは、みなさん一人ひとりの今の生活と
比べてみても、
実感するところがあると思います。

ボランティア活動には、
理念の崇高さも
もちろんあるのですが、

それに加えて
地域に関わる実利と、
ポジティブな上昇マインドが
その活動を盛んにしていた一面は
あったのだろうと思います。


<将来に対する不安の大きさ>


では、今の時代はどうなのでしょう。

テクノロジーの進化で、
情報取得や、仲間との協力関係は、
地域に依存しなくてもよい場面が
増えましたよね。

これは確実な変化と言えます。

それに加えて、
将来に対する不安が、
今の働く世代には
ずしっと重く乗っていること、
このことも
ボランティア活動の担い手不足と関連が
あるのではないかと思います。


将来に対する不安。


一つには、
年金は将来もらえるのか?
年金だけでは
退職後に満足な生活がしていけないのではないか?
という不安。

もう一つは、
会社の寿命が短くなってきていて、
一つの会社に勤めているだけでは
安心できないのではないか?
という不安。

こういった不安が
今の働く世代にはあるのだろうと
思っています。

この不安があることで、
会社で働くだけでは安心できなくて、
自分が“個”として価値を生み出せるように、
自己啓発に時間を使ったり、
副業などで経験を積み上げたり、
そうやって会社に依存しない“個”で
いられるようにと奮闘している。

そんなことが起きているのが
今の時代です。

家族や大切な人と過ごす時間、
自分を大切にする時間、
これらの項目に加えて、
将来の不安を解消するための
自分を磨く時間や、
本業以外に収入を得ていく時間も
増えている。

行動力のある人ほど、
自分の時間が忙しくなっている。

このようなこともあり、
オフタイムはますます貴重になって
価値が上がってしまっている。

だから、ボランティアに
時間を使う、という選択肢が
取りづらくなっている。

そんなことが言えるのだろうと
思います。

ボランティアに魅力がなくなったという話では
ないのだと、私は思っています。


<不安を和らげる活動へ>


最後に、
働く世代がもう少しボランティアに
関わってくれるようになるために、
どんな工夫ができるのだろう。

そこを考えてみたいと思います。

特効薬は、なかなかないですね。

でも、先ほど述べた
時間の価値の高まりを理解した上で、
その背景の一つに、将来に対する不安が
強くあるのではないかと仮説を立ててみて、
そこから何かしらの工夫を
考えられないものでしょうか。

今回のテーマに、
これから自治体として、
何かしら変化に挑戦することは
できないかな
ということを書いていましたので、

ほんとうに仮のたたき台みたいな
例ですが、挑戦を考えるための
案を書いてみます。


それは、
地域活動に関わっていくことで、
階段を上がっていくような、
ステップアップの道があって、
その階段を上がっていくと
一定の収入が得られていくような、
そんな仕組みづくり、です。

はじめは完全に無報酬でのボランティア。

でも、続けていくと、
だんだんとマスターになっていって、
身につけたスキルと貢献期間の長さによって
謝礼をもらえるようになる。

40代とか、50代から、徐々に地域活動を
無報酬で始めていくのだけれど、
細々とでも関わり続けながら
スキルも習得していくことで、
会社を定年する65歳ぐらいからは
謝礼を受け取りながら地域活動に関わることが
できる、そのような仕組み。

まぁ、ほんとに一つの案ですが、

そうやって、
会社から給料をもらって生活できている間に
ボランティアを始めておくと、
定年後には、年金に加えて謝礼がもらえる。

そんな仕組みは、一考してみる価値は
あるような気がしています。


今ある地域のボランティア活動は
担い手不足で行き詰まっている。

そして、今は一人ひとりの時間の価値が
ずいぶんと高くなっている。

その価値の高まりの背景の一つに、
将来に対する不安、特に経済的な
不安があるのではないか。

将来の不安を多少なりとも解消する仕組みを
取り入れることで、一人ひとりの今の時間を
地域活動へと振り向けてもらうようにしていく。

そんなところを今日は考えてみました。


いかがでしたでしょうか。


思考の解像度を上げながら
未来に向けたまちづくりを
考えていきましょう。


こちらの投稿は、主に自治体職員向けにその成長を支援する内容となっており、継続して読むことで、思考力、判断力、実行力の向上に役立ちます。

1ヶ月で関心のアンテナが立つようになり、
3ヶ月で思考の解像度が上がる。
6ヶ月で視野の深さと広さのレベルが上がり、
1年で判断力、実行力に格段の違いが出るようになる。
まちづくりを担う力をつけていきましょう。

こちらのマガジンにまとまっています。
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