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No.19 自治体の仕事って、高度だ。 「全体」と「バランス」の話


1日0.2%の成長で起こせ!
静かなる自分革命


これまで自治体の仕事をやってきて、
つい、大変だなぁというところに
思いがいくことが多かったのですが、

そう思うに値するくらい、
自治体の仕事って高度なことを
やっているぞって、
そんなふうに感じてもいました。

日々業務に奮闘されているみなさまが、
あらためて、
そうだよな、自分たちは高度なことに
挑戦しているんだよなって、
この記事を読んで、
そう思ってもらえたら幸いです。


今回は、
自治体の仕事って、高度だ。

というタイトルで、
その理由を挙げていきます。


高度な理由っていろいろあるのですが、
今日はその中から、
「全体」「バランス」
について書こうと思います。


<全体を見る>


以前、私は東京都市町村職員研修所で
研修講師をしたことがありました。

「政策形成」の研修です。

私が担当したときは、
「広域連携」を手段として、
これからの自治体ができること、
やるべきことを考えていこう。
そんな内容で行われた研修でした。

いろんな自治体職員の方が集まって、
それぞれグループに分かれて、
さぁ、何を目的に広域連携しようかって
いう話になっていきます。

そうすると、
まぁびっくりするくらい
いろんな目的が出てくるわけです。

子育てだったり、
健康寿命だったり、
災害対策もあれば、
産業振興もある。
そのほかにも、
教育、スポーツ
介護、リサイクル…。

これらの目的、
自治体職員のみなさまにとっては、

普通

なのかもしれません。


でも、これだけ
守備範囲の広い仕事って、
まったくもって

普通じゃない

のです。


冷静に考えれば考えるほど、
この範囲の広さって、
半端ない、ですよね。


自治体の仕事は、
人生のあらゆるステージを対象としていて、
どの世代も対象になっていて、
それこそ道路改修や駅前整備、
景観対策なんていうのもあれば、
赤ちゃん訪問もあれば、
100歳長寿のお祝いもあります。


民間企業などは、
顧客となるターゲットを定めて
集中することで成果を上げていく、
なんてことが多いけれど、

自治体は、
とにかく全体を見渡しながらじゃないと、
自分の担当する仕事の緊急度や重要度すらも
分からない、なんていうことになります。

あらゆる方面のことを意識しながら
仕事をしていくって、
実はとても難しくって
高度なこと、なんですよね。


これだけサービスが細分化している
今の時代にあって、
それでもなお全体を見ていかないといけない。

どんなに優れた職員であっても、
一人の力で全体を見るなんて、
とてもできないと思います。

私ももちろん、そこまで
できませんでした。


自分の担当業務に目一杯になりつつ、
頭のどこかで
他の分野のことも気になっている。

同期の話などを聞きながら、
それとなく他分野を気にしている。

そのくらいだったように思います。


とても容易にはできないけれど、
それでも全体を見ながら仕事を進めていく、
そこに日々チャレンジする自治体の仕事って、
とても難しく、高度なものです。

もっと評価されてよいものだよなって、
そう思います。



<バランス>


そしてもう一つが
この「バランス」です。

さきほどの全体を見るってことにも
つながるのですが、

バランス、
特に支出のバランスを取ることの
難しさ、高度さっていうのも
あります。


これも民間企業との比較になりますが、

少し単純に書くと、
民間企業などでは、
利益の出る部門に集中投資して、
そこで利益を増やすことで、
他の部門にも恩恵が生まれてきます。
だから、集中投資は全体にとって
プラスに働くことにも
つながっていくものです。

でも、
自治体の場合は利益が発生してこないので、
どこかに集中投資するってことは、
そのまま別のどこかの支出を削ることに
なってしまうのです。

削られた部門の仕事に恩恵が
まわってこないんですよね。

削られたら削られたまま、
その部門の行政サービスが停滞することに
つながりかねないのです。

だから、支出の全体バランスを
考えながら、この時期はどこに
注力するのか、なんてことを
判断していかないと
ならなくなります。


たとえば…。

今は高齢者の人口が増える地域も
多いと思います。

そうすると、
高齢者施策は、
いまある事業をそのまま継続するだけでも、
サービスを必要とする対象者が増えていって
支出が自然に増加するっていうことになります。

でも一方で、対象者が増えるっていうことは、
それだけニーズも多様化することにもなります。

ですので、
その部署で働いている職員からすれば、
あそこも足りてない、ここも足りてないって
いう感覚になってくるわけなんですね。

だから、一生懸命仕事している職員ほど、
ニーズに合わせてもっと改善していきたいって
そうなってくなるわけなのですが、

そうすると、
ますます、どんどん、
高齢者施策の支出が増えていって
しまうことになります。


どこまで高齢者施策にお金をつぎこむんだ?
っていう壁にぶつかるんですね。


何も新しいことはしなくても、
どんどん支出は増えている。

さらに事業を増やせば、
もっと支出は増えていく。

でも、

そこに支出を増やすってことは、
他の部門の支出を減らすってことに
なってしまう。

高齢者に多くお金をまわせば、
若い人にお金が回らなくなってしまう
かもしれない、

福祉に多くお金をまわせば、
安心は手に入るけれど、
まちの魅力が減退してしまって、
先々若い世代に選ばれない自治体に
なってしまうかもしれない。

そんなことにつながりかねません。


支出のバランスって、本当に難しい。


つい、
それはトップが決めること、とか、
それは予算の査定で決めること、とか、
他の誰かに判断を
委ねてしまいたくなりますよね。


一人で全部を見られるほど、
自治体の守備範囲は狭くありません。

なので、支出のバランスだって、
容易に正解なんて
出すことはできないのですが、

少しずつでも感が働くようになるために、
バランスのことも意識していくことは
大切なことだったり、します。


これってやっぱり、
高度な仕事です。


他の業種には他の業種なりの
難しさや高度さがあると思います。

それはそれとして、

自治体の仕事は、
かなり高度なことを求められているのだなと
私はそう理解しています。


<会話が大事ですね>


目の前の仕事、
目の前の一人ひとりに
一生懸命に力を注いでいく。

それはとても大切なことです。

でも、

そんな中で、公務員には異動があり、
数年経つと全く異なる分野に
移っていくということの背景には、

この、
全体を見る視点の獲得と、
支出のバランスに感が働くことへの
期待がある
と、
私は思っています。


世代も、ステージも、
あらゆる立場の人の生活も、
それらの全体を見ながら支出のバランスを考え、
そして事業を進めていくって、
やっぱり大変です、よね。


経験を積まないと
なかなか感が働かないし、
どんなに頑張っても、
到底一人で答えが出せるような、
簡単な話ではないと思います。

でも、だからといって
感覚を磨くことを
放棄するわけにもいきません。

となると、
やっぱり大切なのは、仲間になってきます。

今、日々頑張っている職員の方々は、
ぜひ、組織の中で
いろんな部門の人たちとの会話を
大切にしてほしいなと思います。


私の場合は、職位が上がるにつれて、
あっちこっちの分野の職員との
会話が増えていきました。

「そっちはどう?」

「今は何が大変なの?」

なんて言いながら、
お互いの担当業務の情報を交換しあって、

あぁ、今の自分の業務は
あまりお金をかけずに
工夫しなくちゃいけないな、
なんて考えたり…。



広くて、深くて、
バランスが必要で…。

自治体の仕事は
難しく、高度ではありますが、

そこを信じて託してくれている
人たちがいることも事実です。

なかなか外から認められたり
感謝されたりすることが
少ない仕事ではありますが、

自分たちで励まし合って、
プライドを持って、
大切な仕事に
取り組んでいってほしいと思います。


ファイト!



こちらの投稿は、主に自治体職員向けにその成長を支援する内容となっており、継続して読むことで、思考力、判断力、実行力の向上に役立ちます。

1ヶ月で関心のアンテナが立つようになり、
3ヶ月で思考の解像度が上がる。
6ヶ月で視野の深さと広さのレベルが上がり、
1年で判断力、実行力に格段の違いが出るようになる。
まちづくりを担う力をつけていきましょう。

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