No.4 布マスクの2枚配布は、betterな選択だと理解する。

〜 1日0.2%の成長で起こせ! 静かなる自分革命 〜

令和2年4月1日、国が新型コロナウイルス感染症対策本部(第25回)を開催して、その中で「布マスクを1つの住所あたり2枚ずつ配布する」という発表がありました。(発表内容はこちら

この取り組みは、ずいぶんと批判されたり揶揄されたりしてますね。
ですので、ほとんどの方がこのニュースのことをご存知だと思います。

マイナス評価の声がとても大きく報道されているこの発表なのですが、私はこのやり方はbetterだなと思っています。

そして、自治体職員の思考力、判断力、実行力の向上をサポートするこのnoteの趣旨からすると、この事例は取り上げる価値があると考えました。

この取り組みは象徴的ですが、「じっくり考えてからbest!」よりも、「時間を最優先にbetterを動かして、動かしながら改善していく!」パターンが、今は必要なタイミングです。

良いか、悪いか。
bestか、否か。
この2択に執着すると足が止まってしまいます。
そうではなくて、互いに知恵を寄せ合ってbetterを積み上げていく。
その力をつけていくことが大切です。

そのために、まずはこの事例について、みていきましょう。

ということで、今日は「布マスク2枚を全世帯に配布はbetterか?」がテーマです。


<もっとも優先しているものは?>

今回発表された内容の中で、マスク関連についてはだいたいこのような内容になっています。

・ シャープの協力などもあって、今後は月7億枚を超える供給を確保する見込み
・ 依然として店頭では品薄
・ 全国の医療機関に対して先月中に1500万枚のサージカルマスクを配布し、来週1500万枚を追加配布
・ 高齢者施設、障害者施設、小・中学校に布マスクを必要枚数確保し順次配布
・ さらに、布マスク一億枚確保できたため、全国5000万世帯に、2枚ずつ配布

これを見ると、品薄が続く中、とにかく医療機関を最優先にしているぞっていうことがわかります。

次が高齢者や障害者、子どもたちのいる施設。

とにかくここを優先しているんだってことが書かれています。

そのあとに、全世帯配布をおこなう。

つまり、全世帯配布は、この取り組みの中では優先順位が比較的低いのだなということが分かります。
まずはこのことを確認しておきましょう。



<この布マスクを、とにかく配布したい相手に届けたい>

私が直感的にイメージしたのは、この取り組みで本当に布マスクを配りたい相手は、身体的弱者経済的弱者、そして情報弱者なのだろうな、ということでした。

もうちょっと詳しく説明しますと、

ここで言う身体的弱者は、薬局に開店前から並んで待つことが身体的に難しかったり、開店後に急いで品物を取りに動くことが難しかったりする方のことです。
(単身高齢者で要介護の方とか、視覚障害者の方などをイメージしました)

そして、ここで言う経済的弱者とは、低賃金で長時間働いていて薬局に行っている時間が取れない上に、ネットで高額なマスクを注文するなんてできない世帯とか、そもそもマスクを買うお金にも困る世帯のことです。
(手当を受給しているひとり親世帯の中に、該当世帯がいるのではないかとイメージしました)

そして、ここで言う情報弱者とは、情報を得る手段を持っていない方や、持っていたとしても何らかの理由で関心が薄く、コロナの危険性に未だ気づいていない方のことです。
(生活保護世帯の一部などをイメージ。啓発の意味も含めて。)

こうやって考えたとき、「布マスクなんて、そんなもんもらってどうすんだ?」などと発言している人たちは、“本当に配りたい人たち”の中には入っていないのだろうなという想定に至りました。(少し厳しい言い方ですが)。

これで、「本当に配りたい人は誰か」ということが、明確になってきました。


<じゃぁ、どうやって配るのがいいのだろう?>

さて、ここで配り方です。

本当に配りたい人たち(だけ)に、確実に配りたい。

そうしたときに、通常取られる、よくあるパターンはこんな感じですよね。

基礎自治体(いわゆる市区町村)に該当者を抽出してもらい、その数を出してもらう。
都道府県が数を取りまとめて国へあげる。
国は把握した全数を発注、それを都道府県に配送して、都道府県から市区町村へ配り、市区町村の職員が直接配布する。

これなら確実に配れるし、弱者に集中して配れるから、一世帯あたりもたくさん配ることができます。

でも…。

これでは時間がかかり、コストもかかり、そして人手も多くかかってしまいます。

今回、とにかく最優先すべきは時間です。そして弱者にマスクを届けたいけれども、そこにコストをかけすぎてもいけない。

そうであれば、日常から配達の仕組みを稼働させている日本郵政の力を借りて、一気に配布してしまったほうが、時間も、コストも、人手も、多くの追加負担をかけずに済むことになります。

そして、本当に配りたい世帯に、少なくとも2枚は配ることができます。

私は福祉職場にいたことがありますが、かつて自分が担当していた方々が今この時代にいたら、この2枚の布マスクはものすごく助かるだろうと思います。

もちろん、一世帯10枚とか配布できればそのほうがいいけれど、2枚だってとても助かります。

そう考えたときに、この配りかたはbetterだぞ、ということがお分りいただけると思います。

そして、ここまで整理してみた結果、トータルとしてこの取り組みはbetterだな。
私はそういう理解に至りました。


<bestよりもbetterを積み重ねていく>

今回、「布マスク2枚を全世帯に配布はbetterか?」をテーマに書いてきました。

この取り組みは、全体の中では比較的優先順位が低いこと、時間を最優先にしつつ、コストと人手をできるだけ抑えながら、本当に届けたい人の手元に届けること。

そう考えたときに、私はbetterな取り組みだと理解しました。

新型コロナウイルスのもたらす影響は刻一刻と変化しています。

じっくり検討している時間的余裕がない中で、bestよりもbetterを積み重ねていく、今は、そんな意識を持つことが大切なのだと思います。

別の考えをお持ちの自治体職員の方もいるかもしれないし、私よりも広く、深く状況を把握されていて、よりbetterな案を提案できる方もいるかもしれません。

そうであれば、それはそれで素晴らしいことだと思います。

自治体職員は、困った時ほど頼られる存在です。

メディアの批判だけを鵜呑みにすることなく、できるだけ状況を俯瞰して冷静に判断し、政策を実行していくことのできる力をつけていってほしいと思っています。

私は、自分の捉え方が正しいというつもりはありません。
それよりも、こういった思考の仕方を参考にしてもらって、あなた自身の思考力や判断力の底上げに役立ててほしいと思っています。

何かしら役立つことがあれば幸いです。

全国の自治体職員を、応援しています。



こちらの投稿は、主に自治体職員向けにその成長を支援する内容となっており、継続して読むことで、思考力、判断力、実行力の向上に役立ちます。
1ヶ月で関心のアンテナが立つようになり、3ヶ月で思考の解像度が上がる。
6ヶ月で視野の深さと広さのレベルが上がり、1年で判断力、実行力に格段の違いが出るようになる。
まちづくりを担う力をつけていきましょう。
こちらのマガジンにまとまっています。
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