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No.22 常識という言葉が、ガラガラと崩れ去った日々 その1


1日0.2%の成長で起こせ!
静かなる自分革命



今回は、私が3つ目の職場で従事した、
生活保護のケースワーカーという
仕事の振り返り記事になります。

この仕事は、私に大きな衝撃を与えた
ものでもあり、
私を大きく成長させてくれた
ものでもあります。

一つ一つのエピソードを
書くわけにはいかないのですが、
その雰囲気だけでもお伝えできたらと
思っています。

自治体の仕事の広さ、深さを
垣間見ていただけたら幸いです。



<生活保護という仕事>


まず、生活保護の仕事って何だ?
というところですが、
一番簡単に言うと、
家庭への経済支援と言っていいと思います。

何らかの理由で、
決められている基準額よりも
少ない収入しか得られない世帯に対して、
その足りないお金を支援する。

そうやって、経済的な最低生活を
保障していく仕事になります。

こう書くと、
とてもシンプルですね。

ただ、実際はこれに付随して
やることっていうのが山のようにある。
それが私たちの仕事になります。


やっぱり、
経済的に困窮するって
それ相応の困りごとを
抱えていることが多いんですよね。

その多種多様な困りごとへの支援を
一緒におこなっていく。

それが
私の経験したケースワーカーという
仕事でした。

自治体によっても関わり方は
様々のようですが、
私のいたところでは、
世帯の困りごとは基本的に
生活保護のケースワーカーが
受け止めることが多く、
そして障害部門や健康部門、
子育て部門や病院、児童相談所
その他の関係機関に協力をいただきながら
支援していく。

そういった流れになっていました。

私一人が担当していたのは
だいたい90〜100世帯。

在宅の方もいれば
長期入院の方もいるし、
施設に入居されている方もいる。
そんな状況でした。



<これ、わたしなんかがやっていい仕事なのか>


さて、ここでの実際の仕事です。

これは本当に多種多様なものでした。

年金額がちょっと足りないだけの
一人暮らし高齢者の世帯もありましたので、
私が貴重な話し相手になる、
なんていう平和なこともありました。

一方で、
返せない借金についての相談があって、
取り立てへの恐怖にどう対応するか、
自己破産はどこに相談するか、
なんていうものもありましたし、

自殺未遂を繰り返してしまう方への支援を
病院と連携しながらおこなうことも
ありました。

急激に精神状態が悪化していく方に
驚く気持ちをおさえながら、
通院を支援したり、入院を支援したり。

犯罪で捕まってしまった方への
面会で拘置所を訪問したり、
その家族と面会したり。

アルコール依存、薬物依存、DV、虐待…。

私がこれまでの人生で
経験したことのないことが
目の前で次々に起こる。
そんな日常を送っていました。

これらの日々の対応に駆け回りながら、
一つ一つを記録に起こし、
毎月約90世帯の生活費を確認して
足りない額を保護費に計上して、
過不足がないように支給していく。

保護を受給していた女性が
走る車に向かって飛び出そうとするのを
必死になって抑える、なんてこともあれば、

訪問したら、
残念ながらお一人暮らしの方が
在宅のまま急死されていた…なんてことも
あったり。


とにもかくにも、
人の命が最優先。

でも、月々の生活費を
ちゃんと支給していくことも
最優先。

突発的な、でも日常的に起こる
トラブルに対応していくことも
最優先。

そんな毎日です。


「一体私は何をしたらいいんだ?」

「私じゃ全く役に立たないんじゃないか?」

なんて、右往左往したり、
自問自答したりする日々です。

これ、ただの事務職である私なんかが
やっていい仕事じゃないだろう…。

そんなことを思いながらも、
とにかく目の前の困りごとに
精一杯対応していく、
そんな日々を送っていました。

自分のちっぽけな常識なんてものは、
あっという間にガラガラと
崩れ去っていきましたね。

もう、ほんとにあっという間に。



<一人ひとりがリアルな人生を生きている>


もちろん、
生活保護を受給している人の全てが
びっくりするような生活の中に
いるってことではありません。

ただ、私一人が約90世帯を
担当していましたので、
その中の5人でも同時に
イレギュラーなことが起こってしまえば、
私にとっては、もうギブアップ寸前の
状態に陥ります。

なので、私の仕事からすれば、
奔走の日々なのですが、
大半の世帯は、困りごとを抱えながらも、
なんとかやりくりをしながら
日常生活を送っている。
そんな状況です。


さて。

たしかに、
私の常識というモノサシから見たら、
びっくりするようなことも多かったし、
経済的な生きづらさを抱えた人たちが
そこに居たわけなのですが、

でも、
この仕事をやっていく中で、改めて

彼らは彼らの、
たった一つのリアルな人生を
歩んでいるんだな。

そう感じることが多かったように思います。
この感覚を言葉で説明するのは
なかなか難しいのだけれど、

このことを感じることができたのは、
私にとっても、貴重なことだったと
思います。


仕事という側面で言えば、
私は支援する側です。

ちょっと強い言い方をすれば、
生活費を支給する権限を持って
仕事をしているとも言えます。

これは、支給される側からすれば、
とても強い存在に感じることでしょう。

でも、
彼らは彼らのリアルな人生を生きている。

そのリアルな人生を
強い立場から他人が評価できるはずがない、
ですよね。

彼らのリアルにきちんと正対すること。

そこははずしちゃいけないなって、
そう思いながら
だんだんと、この仕事に大切さを感じ、
やっぱり誰かがやらなくちゃいけない仕事だと
思うようになり、
自分もちゃんと仕事に向き合って
いかなくっちゃと
そう思うようになりました。



(長くなってしまったので、続きは次回へ)




こちらの投稿は、主に自治体職員向けにその成長を支援する内容となっており、継続して読むことで、思考力、判断力、実行力の向上に役立ちます。

1ヶ月で関心のアンテナが立つようになり、
3ヶ月で思考の解像度が上がる。
6ヶ月で視野の深さと広さのレベルが上がり、
1年で判断力、実行力に格段の違いが出るようになる。
まちづくりを担う力をつけていきましょう。

こちらのマガジンにまとまっています。
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