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先を見通して手を打つこと(先手)の大切さ


自治体の仕事の根幹のひとつに、
先を見通して手を打つ仕事があります。

先行きが見通しにくい今だからこそ、
より重要になっているものですし、
自治体に求められているものだと
感じています。

今日はその話を書きたいと思います。


収入が安定していることの、絶対的な強み


これは自治体だけでなく、
時代の流れにうまく乗って事業拡大を
している大企業なども
当てはまるものではありますが、

やはり
収入が安定していることというのは
絶対的な強みです。

5年や10年先まで収入の見通しが立つ。

今、このコロナ禍にあっても、
自治体は2〜3年でつぶれるような
状況にはならない。

これはやっぱり
ものすごい、圧倒的な強みです。

だからこそ、
求められている役割があります。

具体的な声として聞こえてくるのは、
目の前の支援策を求めるものかもしれません。

そこを無視することは
もちろんできませんが、

表立って聞こえてはこないけれども、
今、特にこういう時代だからこそ、

先に向かって、
確実に手を打っておくことが
自治体には求められています。

この大事な役割に
まずは気づいて欲しいと思います。


絶対的な強みを活かす=先手を打つ


都心などでは、
大手のデベロッパーが
その豊富な資金力を活かして
人の流れを作り出し、
収益性の高いまちづくりを進めています。

その動きを見ていると、
まちを創ることのインパクトの大きさや、
その後何十年にも渡る影響力の大きさを
実感することができます。

そして、手法や視点の違いこそあれ、
自治体が進めるまちづくりも
同じように大きな影響力を持っている
ことに気づかされます。

派手さはないですけれどもね。

民間と違って
過去を切り捨てることなく
未来へとつないでいかなければならない
ところが難しさでもありますが、

それでも、
安定的に見通せる財政状況を背景に、
先を見通して手を打っていくことができる。

この圧倒的な強みを
自治体は活かしていかなければなりません。

具体的な業務としては、
政策立案であり、計画策定であり、
それらを具体化していくまちづくりです。

もちろん、
ただ単に計画を作るということではなくて、
そこに職員自身がどんな見通しを立てたのか、
どんな手を打とうと考え、それを
具体的に書き込んだのか、が大事です。

先手を打つ。

その力は、自治体職員にとって
常に試されているものです。


気になっていること〜コンサル任せ〜


仕事をしていて、
私が気になっていたことがありました。

それが、コンサル任せです。

忙しく、人手が足りない中で
計画を作らなければならない…。

人員要求をしても増員が見込めないから、
せめてコンサル委託を予算化して、
できるだけ負担が増えないように
計画を作っていく。

現実を見れば、このような状況が
あるわけですが、

でも、
やっぱりこれは危険なことだと
言わざるを得ません。

コンサルに資料を作らせ、
計画まで書かせてしまったとしたら、

それは
自治体のコアな部分を
外に出してしまったことになります。

先を見通して手を打っていくための
職員の力量は、
一朝一夕で身につくものではありません。

意識して育てていかないと
身につくものではないのです。

資料を作るために過去にあたり、
データにあたり、
まちに目を向けて知見を内に蓄えること。

容易に見通せない未来について
必死に考えて目を凝らし、
最適解を導き出すこと。

考え出したベストなプランを
自分の言葉で計画に書き込むこと。

これらをやり切ることが、
個々の職員の力量を大きく上げていくことに
なるのです。

多忙な中、
全てを職員だけでやり切ることは
難しいかもしれません。

でも、
自分たちが必要な力を
身につけられるように、
一部分だけでも挑戦していくことが
とても大切です。

コンサル任せを続けていくことは、
10年後の職員力(その総合力)を
大きく低下させることに
直結してしまうのです。

どうしても専門知識を借りる必要が
ある場合を除いて、
コンサル委託には注意が必要だと
思います。


気になっていること〜山盛りのチェック業務〜


もう一つの気になっていることが、
内部での業務の増やし合いです。

特にチェック業務がどんどん
増えているのではないでしょうか。


リスク管理

計画の進捗管理

事務事業評価

・・・


どれも、一つ一つの個別案件だけを見れば
正しい仕事ですし、
必要なチェックなのでしょう。

でも、庁内で各課が他課に
資料作成を投げ合う状況を
俯瞰して見てみると、

これこそ真っ先に止めるべき
無駄な作業になっている可能性が
あります。

部分最適を求めて
全体最適を大きく損なっていないでしょうか。

この視点は
個々の職員が持たなければ
ならないことです。

先を見通して手を打っていくための
力をつけるのは、
一朝一夕にはできないと
先ほど書きました。

考える時間や
考えを交換し合う時間、
互いの経験や知識を伝え合う時間が
絶対的に必要なのです。

しかし、
この大事な時間を
チェック資料の作成業務が
奪ってしまっているとしたら、

その悪影響は
おそろしいものがあります。

考え、手を打つ力を育てることを
放棄してしまった組織の末路は…

想像するだけでおそろしく
なりますね。


作業をして
資料を作っている時間は
なんとなく仕事をしているような
気持ちにさせてくれます。

忙しい、終わらないと言いながら
働くことで、
頑張っているような錯覚に陥って
しまうかもしれません。

でも、
その結果として
必要な力が自分の中に育っていないのでは
困ってしまうのです。

特に自治体のような仕事では、
考える時間、意見を交換し合う時間が
とても重要です。

行革をおこなうならば、
真っ先に内部で作成する資料の
簡素化に取り組むべきだと思います。


力を育て、力を発揮する


自治体の業務はほんとうに幅が広くて、
大切な仕事がたくさんあって、
どの仕事も手が抜けないものばかりです。

私も福祉や保育、教育、コミュニティなど
多分野を渡り歩きましたので、
それぞれに大切な仕事があることを
痛いほど感じています。

それを踏まえた上で、

先を見通し、
手を打っていくことのできる力を
個々の職員には身につけていってほしいと
思います。

そして、
力をつけていけるように、
そのための時間や機会を
大切にしてほしいと思っています。


私が在籍していた自治体では、
40年かけて緑を育て、
10年かけて空白地帯に
コミュニティバスを通し、

それらが今
まちの価値を大きく高めています。

先人たちの持っていた力を
これからの職員も
獲得していってほしいと思います。

まずは自分が今いる分野で
なにが大切なことなのか、
未来に向かって目を凝らして
みてください。

今考え、手を打ったことが、
5年後、10年後の
まちづくりに影響を
及ぼしていきます。


 

 

 


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