活きる為に料理をする① ~咀嚼~

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とは言ったものの、「生きる為に料理をしている」という人が多いように思える。でもそれもその筈で、僕らが家庭の授業で学んできた、一食に対しての基本的な考え方って、一汁三菜というなかなかハードルの高いものなのに、給食によってそれが身近なところで実現できてしまっている(しかも低価格で)から、料理に対しての認識が歪んでしまっているの、ということが原因だと思っている。

元来料理は工程が多いし、使用機材も多い。食材の扱い方は多岐にわたるし、保存に関しても、基本的に低温推奨(保存場所が広く取れない)、在庫に消費期限が存在する(一般的な商材から考えると稀な特性だと思う)。こうして特性を羅列してみると料理をすることがなかなか難易度の高いことのように思えないだろうか。それをみんな無意識で平然とやっていて(僕の思い違いなのかもしれないけど、自炊だったりに関しては料理人よりもそれ以外の人の方が数倍立派にこなしているイメージがある)、すごいなあと感心する一方、それが疲れること、のようにだけ認識されているのが、ちょっと哀しい。

印象と認識の歪みによって「料理」が呪いのように作用している。面倒などという負の感情を全く抱かずに料理が出来ることが、料理が好きな筈の僕ですらあまりない。そんな僕の為にも、というか呪われているすべての人に向けてまずは「咀嚼は調理」ということから提言していきたい。

栄養を摂取するだけなら、食材を丸呑みしてもいい筈(細かく砕いたものを呑み込むも含む)だし、ビタミン剤に頼る方が絶対楽。なんなら点滴だっていい筈なのに、僕らが咀嚼して食べるのはやっぱりそれに意味があるから。
みずみずしいフルーツは口内で果汁がじゅわっと爆発するから美味いし、穀物を咀嚼することによって引き出た甘味は、ただ糖分を摂取するだけでは味わえない幸せだと思う。

間違いなく今日の自分は昨日までに食べたもので形成されている。コンビニご飯や牛丼を後ろめたさを抱きながら食べるくらいなら(多分先入観だし、それらのすばらしさについてはまた今度語らせてほしい。僕はコンビニご飯も牛丼も威風堂々食う)、咀嚼という調理をしたものを料理として胸を張って食べる方が良い。医学的根拠は全く無いが、その方がりきが出る気がするでしょ。

ということで咀嚼という調理のみで美味しく(重要)食べられるの無加工の食材をまとめていきたいと思う。無加工である必要があるのは、品質の良し悪しの判断がしやすいから。無農薬絶対主義を語るつもりはないけど「そのまま食べるなら、少し値が上がっても、安全そう(そう、が重要)な食材を買おうかな」という人は少なくないんじゃないかな。とはいえ一定の安全基準が設けられている農薬がよっぽど悪いなんてことはないと思うし。そこの判断は己の潔癖感に従えばいいと思う。その上で値段を考えるだけなら、疲れずに買えそうじゃない?
まずはそのまま食べられる食材から。

アスパラガス、きゅうり、トマト、レタス、ルッコラ、蕪、オクラ、マッシュルーム、りんご(皮ごと食べるのがおいしいと思う)、苺、シャインマスカット、さくらんぼ、ブルーベリー、プラムなど。

蕪、ルッコラなどはへたを持ってそこだけ残すように可食部のみ食べる。誰かに提供するということを想定していないのでこんな食べ方も絶対アリ。また、今回はピーマンや人参など生で食べられるけど、それだと癖が強いものなどは除外した。細かい判断は各々の好みでしたらいいと思う。愛さえあれば。僕はキャベツなら生で食うし。

次に手で皮を剥けば食べられる無加工の食材。これらはあらかじめ可食部と被可食部を分けるという高度なテクニックが必要であり、前者と比べると難易度が跳ね上がる。

みかん、バナナ、葡萄、無花果、落花生、グレープフルーツなど

特にグレープフルーツの難易度は群を抜いていると思う。外側の皮(果皮)を剥いた後に内側の薄い皮(心皮)を剥かなければならないからだ。この手間は自分だけが食べる食事に到底掛けられる労力ではないように思える。

正直僕は上記の二分類だけ狙って食べれば、ある程度生きていけるのではないかと思っている。そしてその中で自分が本当に食べたい(味云々ではなく選択として)と思えるものを狙って食べれば活き活きしていけるのではないかと思っている。やっぱり生きるためには食べなければいけないけど、美味しいものは食べていたいし、何より健康に生きていたいよね。これが健康かって言ったら微妙なところだけど、限りなく工程を少なくして美味しいものを食べるということは、精神的には健康に近づく生き方ではあると思う。

だから僕は「咀嚼は調理」と言っていきたい。咀嚼という行為を前提にして食材がお皿に乗ったのならそれはもう料理。洗っただけ、皮を剥いただけじゃない。胸を張って生きよう。

そしてそんなんじゃ物足りないなって思ったあなた

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