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Triston McKenzieはなぜ苦しんでいるのか?

 初めまして、sub郎と申します。早速ですが今回は、我がCleveland Indiansのトリスタン・マッケンジーを取り上げ、不調の原因を考察したいと思います。

・プロフィール


 トリスタン・マッケンジー(Triston McKenzie)は23歳の右投手です。195cmの高さから投げ下ろす平均92マイルの4シームと、スライダー・カーブ・チェンジアップを織り交ぜることで、高い三振率を誇っています。2020年は球団有望株ランキングで3位に選ばれ、6試合に先発して防御率3.24の好成績を収めました。そのため、今シーズンもビーバー、プリーサックに次ぐローテ3番手として期待されています。
 しかし、今季はここまで4試合に先発し0勝1敗、防御率は6.27と、期待に応えられていません。そこで本稿では、マッケンジーがどのような要因で苦しんでいるのか、データを基に見ていきたいと思います。


・マッキンジーが苦しむ原因とは?


1. 高い与四球率

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(表1)マッケンジーの通算stats(fangraphより一部抜粋)

 マッケンジーが苦しむ最大の要因は、明らかな与四球率の高さです。これまでマイナー時代を通じ、年間で与四球率3.0を上回った年はありませんでした。これはMLB平均の3.2と比べて優秀な数値です。しかし今季はまだ序盤とはいえ、8.68と高い数値を記録しています。これは、PITのC. クールに次いでメジャーワースト二位の数値です。5/1の試合では一回を三者連続三振で切ったものの、二回に4四球を出し5失点してしまうなど、乱調癖も目立ちます。
 ちなみにマッケンジーは5/1の試合後のインタビューで、各打者への初球にストライクが取れなかった事を反省点として挙げていました。確かにその日の試合では、打者11人に対し初球ストライクはたった2人だけでした。しかし他の先発試合を調べたところ、初球ストライク率は52.2%でした。これはMLB平均の68%(2019年)と比べても、そこまで酷くはありませんでした。


2. 速球の空振り率の低下


 インディアンス担当記者であるMandy Bell氏は、今季の不調の原因として4シームの球速低下を指摘しています。そこで、4シームに関連するデータをまとめてみました。

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(表2)マッケンジーの4シームに関するstats(baseball savantを基に筆者作成)

 (表2)が示す通り、2021年の平均球速は2020年の平均と比べ1.6mph低下し、加えて回転数も2336 rpmから2235rpmへと落ちています。その結果、4シームのWhiff%(空振り数/スイング数)が悪化しています。尚、他の球種(スライダー、カーブ、チェンジアップ)のwhiffは昨年と同等かそれ以上のレベルでした。したがって、今季防御率が悪化している原因は、4シームの劣化にあると考えられます。


3. 高めに浮く4シーム

 表1のゴロ率(GB%)を見ると、昨年の40.0%から大きく減少し、今年はわずか10.8%にとどまっています。フライボールが増加した結果、一試合当たりの被HR数も1.62本に悪化しています。

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(図1)4シームのヒートマップ(baseballsavantより抜粋)

 ゴロ率低下の原因は、高めに浮く4シームが増加しているためだと考えられます。(図1)は投球された4シームの位置を表しています。昨年もやや上ずっていますが、今年は最頻値がなんとボールゾーンになっています。つまり、今季は昨季よりも4シームが高めに浮く割合がかなり高くなっていると言えます。


・まとめ


 本稿ではデータを用いて、トリスタン・マッケンジー不調の原因を探りました。その結果、①四死球の増加②4シームの質の悪化③ゴロ率の低下という三点が挙げられました。本稿では課題面を中心に述べましたが、実は奪三振率は13.98で、昨年(11.34)よりも向上しています。そのため、先日のローガン・アレンのように今すぐマイナー落ちすることは無いでしょう。

 MLB.comに掲載されたBell氏の記事でも、球団は今後もマッケンジーを起用し続けると予測されています。今シーズン、ゾーン内で勝負を仕掛け、三振を多く奪う本来の姿を取り戻してほしいと思います。




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